「巨人の星」から学ぶ、介護現場で虐待が起きる本当の理由

 

こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

厚生労働省の調査では、介護職員による高齢者虐待の件数が、2017年度で510件(前年度比58件増)と過去最高を記録したようです。

 

これで11年連続の増加で、被害者は認知症の人が8割を占めています。

 

※参考 介護職の高齢者虐待、最多 17年度 510件、被害8割認知症

 

老人ホームでの殺人や傷害事件などの報道も年々増えている印象があり、非常に深刻であると言わざるを得ない状況でしょう。

 

私の方にも、介護事業所様から虐待に関する研修の依頼や、虐待防止の取り組みについての相談を受けることが増えてきました。

 

そのような状況もあり、今日は「虐待をなくすためにまず職場が知ってほしい人間関係の仕組み」について話をします。

 

虐待をなくすためには様々な取り組みがあると思いますが、まずはこの記事を読み、ご自分の職場が抱えている虐待のリスクについて振り返って頂ければいいかなと思います。 


介護職による虐待は「個人の問題」?「職場の問題」?

 

施設での傷害事件や殺人事件の報道などがあると、当然ながら容疑者の人間性などが多く報道されます。

 

職場も「今後このような問題が起きないように、職員への教育を徹底します」というようなコメントを出します。

 

もちろん、虐待をした個人の問題は大きいと思いますし、職場もそのようなコメントを出さざるを得ないのもわかります。

 

ただ、私はいつも思うのです。

 

虐待を個人の問題にしている限り何も解決しないし、そもそも、介護職を初めとした対人援助の現場では虐待、パワハラ、いじめなどの「暴力的なトラブルが起きやすいシステム」が発動しているんですよ、と。

 

誰もがその環境に放り込まれれば、同じようなトラブルに巻き込まれ、思わぬタイミングで加害者にもなるし被害者にも十分なりえる。

 

そのリスクを十分把握することがとても大切だと思うのです。

 

それを踏まえた上で、私の話を聴いてください。

 

皆さんは、巨人の星を読んだことありますか?

 

読んだことなくても、なんとなく星一徹と星飛雄馬がどんな関係なのかわかりますよね。

 

父親の一徹がちゃぶ台をひっくり返すシーンは、大体みんな知っています。 

巨人の星を読むとよりわかりますけど、一徹の暴力は本当にひどいですよ。

 

今すぐ警察か児相に通報するレベルです。

 

殴る、蹴る、物を投げる。

 

やられてばかりの飛雄馬

 

ひたすら暴力に耐え、辛いはずです。

 

酒浸りの父の姿は怖いでしょう。

 

不満や怒りもあるはずです。

 

さて、ここで考えてみてください。

 

じゃあ、飛雄馬はこの怒りや不満、悲しみなどのネガティブな感情を、どこで癒していたでしょうか?

 

これだけの目に遭うわけですから

 

どこかで発散しないと確実に精神のバランスが崩れてしまいます。

 

いかがでしょうか。

 

この話は、巨人の星を読んだことがある方ならわかると思うのですが…

  

飛雄馬って、意外にも性格が一徹に似ているんですよ。

 

というのは、学校で、友達に対してけっこう暴力的なんです。

 

こちらを見てください。

これ、飛雄馬をからかったわけでもなんでもないんですよ。

 

野球の話をしていただけ。

 

その話が気に食わなかった飛雄馬。

 

突然後ろからこの暴力。

 

机がひっくり返っています。

 

ちょっとひどいです。 

 

これだけではないんですよ。

 

「修学旅行事件」という別の暴力事件も紹介します。

これもひどいもんですよ。

 

そこまでするか?と思うほどにやってます。

この友達は、お金がなくて修学旅行に行けない飛雄馬に

 

「うちがお金を出そうか」と言っただけです。

 

まあ、確かに上から目線で鼻につく言い方なんですよ。

 

でも、グーで殴ることありますか?

 

机がひっくり返ってます。

 

家では父親の暴力に耐えるだけの少年が、学校ではとても凶暴で危険なのです。

 

つまり、飛雄馬の怒りや悲しみは、「暴力」という形で同級生に向かっていると考えられます。 


「怒り」は、強いものから弱いものに向かいやすい。

 

覚えてほしいキーワードは

 

「怒りは強いものから弱いものに向かう」ということです。

 

父から子に向けられた暴力。

 

そして子の怒りはさらに弱い立場の同級生に向かう。

 

こういう流れですね。

 

修学旅行事件の時、飛雄馬は先生から職員室で怒られます。

 

当然ながら、先生たちの間では、「飛雄馬は暴力トラブルになりやすい生徒」でしょう。

 

じゃあ、飛雄馬の暴力は「飛雄馬個人の問題」でしょうか?

 

どうやったら、飛雄馬の暴力は直りますか?

 

注意しただけで変わりますかね。

 

私はあんまり変わらないと思います

 

だって

 

あの親父がいるんですから。

私は、一徹を何とかしないと飛雄馬の暴力のリスクは変わらないと思うんですよ。

 

飛雄馬に「修学旅行事件を思い出すがいい」なんて偉そうに言ってるけど、

 

「おまえなんて何回家で暴力事件を起こしてんだ?」と突っ込みたくなります。

 

飛雄馬を暴力被害から解放してあげないと、感情が癒されないと思うんです。

 

つまり、飛雄馬の友達への暴力は「家族の問題」だということです。

 

私はスクールカウンセラーもやっていますが、私なら飛雄馬のカウンセリングではなくまず一徹のカウンセリングをします。

 

一徹に変わってもらうことが最善の策だと思います。


過酷な環境で働く介護職の怒りや悲しみが「暴力」となるリスク。

 

さて、だいぶ巨人の星トークが長くなりましたが、実はここまでは前置きです…。

 

長い長い前置きにお付き合いいただいありがとうございます。

 

始めの質問に戻ります。

 

介護現場で起きる虐待の問題

 

個人の問題ですか?職場の問題ですか?

  

もちろん、すべて職場が悪い!なんて言うつもりはありません。

 

個人の課題ももちろんあります。

 

でも、職場の環境が個人の問題を助長してしまうのです。

 

職場の人間関係があまりにも悪い。

 

パワハラ、いじめや派閥が当たり前にある。

 

退職者が多くていつも疲れて、具合が悪いのは当たり前。

 

過酷な割には賃金が低く、自分が惨めで惨めで仕方がない。

 

利用者や家族から理不尽な暴言暴力を受ける。

 

「この業界ならこれは当たり前だ!いやなら辞めれば?」なんて言われて、誰も助けてくれない。

 

そんな傷つく毎日を送っていたら

 

その怒りや悲しみ、辛さの向かう場所は、どこになるでしょうか?

 

怒りは強いものから弱いものに向かいます

 

「弱いもの」

 

どこにいますか?

 

介護職のすぐ目の前にいますよね?

 

こうやって、暴力が暴力を呼ぶのです。

 

暴力が連鎖する。

 

怒りや悲しみが連鎖するんですよ。

 

家で旦那さんに八つ当たりしたり

 

彼氏に理不尽にキレたり

 

帰りに寄ったバーミヤンでクレームつけてみたり

 

虐待にならなくても、色んな形で連鎖は起きやすいんです。

 

だから、虐待を「個人の問題」として処理してしまうのは、とてもリスクだと思うのです。

 

虐待が発生しやすいシステムが、職場に起きている

 

こう考える必要があります。

 

つまり、虐待にならない職場環境づくりをしていかないといけないんですよ。

 

まずは、このブログを読んで虐待のシステムをよく理解してください。

 

暴力的なコミュニケーションが根付いている職場は、要注意です。

 

そうだと職場の人間関係が常に悪いはずです。

 

だから、いつ何が起きてもおかしくないですよ。

 

職場が変わらないといけないんです。

 

個人の問題にしていたら、何も変わらないのです。


虐待を防ぐためにまず必要なのは、「安全な職場の人間関係」

 

ここまで読んでご理解頂けたかと思いますが、介護現場で起きる虐待の問題の背景には、職場の人間関係の悪さや過酷な労働環境がかなり密接に関連しています。

 

だから、個人の問題にせず、「従業員に教育を徹底します」で済まさず、職場が「職場の問題」として真摯に向き合う姿勢が欠かせないと思うのです。

 

そのために、まずは介護職の現場で起きやすい人間関係やトラブルの特徴を学び、自分の職場を振り返って頂きたいなと思います。

 

その上で、今よりも少しでも安全な職場づくりに取り組んでくことです。

 

私は、これまでに多くの介護職の方の相談を受け、その特徴を「安全な人間関係の距離感」であるバウンダリー(境界線)を切り口にブログ記事にまとめています。

 

まずは以下の記事を読み、あなたの職場の人間関係を点検してみてください。 


ブログテーマ


初めに読んでほしいお勧めブログ記事

 

◆ストレスに強くなる!人間関係の境界線の引き方 

 

◆なぜ援助職の現場で虐待が起きるのか、「巨人の星」で説明します!

 

◆「NGT48事件」から学ぶ、対人援助職の共依存がもたらす、離職・燃え尽き問題の構造と対処法

 

◆職場の喧嘩を上司のあなたが「仲裁しよう」としているから、いつまでも問題が解決せず繰り返されるんですよ。

 

◆教えてくれない職場は、「教えること」を教えないから「教えられる人」が育たない。

 

◆「思考」と「感情」の違いがわからないと、ストレスが倍増する!

 

◆職場のスタッフの本当の悩みに経営者のあなたが気づかない限り、人材不足などの問題はなくなりませんよ。

 

◆あなたの職場ですぐに新人が孤立するのは、「業務内容」は教えても「職場の小さな当たり前」を教えていないからではないですか?

 

◆共依存タイプの上司は、部下の自立を嫌い、部下の依存や不安を好む。

 

◆鳥取県養護学校の看護師一斉退職に見る、対人援助職の使命感の強さが生む「依存」と「機能不全」

 

◆バウンダリー(境界線)基礎講座1日目「人間関係の大原則が学べるバウンダリー(境界線)とは?」

 

◆働きやすい職場にしたければ、「相棒」の杉下右京を見て学べ!

 

◆悪質なクレーマーやモンスター患者対応の基本は、職場としてのバウンダリー(境界線)を強化すること!

  

◆自分のことを長い目で見れば、今のあなたの弱みなんていつかは強みに変わるという話

 

◎こちらのホームページでもブログを書いています!◎

共依存を克服するカウンセリング【東京・新宿】