あなたの職場ですぐに新人が孤立するのは、「職場の小さな当たり前」を教えないから!

 

介護や福祉施設など、対人援助の職場にとって「人手不足」は常につきまとう非常に深刻な問題です。 

 

「せっかく新人が入ったと思ったら、半年も経たないうちに辞めてしまいました」

 

「いくら人を入れても、退職する人の数が勝つんですよ。だから常に人員はマイナスで、もう心が折れています」

 

人手不足が慢性化した職場で働く援助職の声はたくさん聞いてきましたが、本当に皆さん苦しそうだし、モチベーションを保つことに相当苦労をしています。

 

一方で、転職をして新しい職場に入ったものの、全く馴染めずに孤立し、そのまま1年もしないうちに退職の道を選ぶ援助職の方にも、これまで本当に多くお会いしてきました。

 

「新しい職場では、何も教えてもらえないんです。『経験者だからわかるでしょ?』という具合で、現場に放り込まれて『なにかわからないことがあれば聞いてね』しか言われなくて…」

 

「質問をすれば教えてはくれるんですけど、こっちから聞かないと何も教えてもらえなくて。あと、声をかけられるのは注意される時くらいですよ。なかなか馴染めなくて大変です」

 

このような傾向は、特に介護職に多い印象があります。

 

介護の現場は特に人手不足ですから、迎え入れる側も余裕がないんでしょうね。

 

経験者だという理由で、最低限の業務を教えて「あとはよろしく!」みたいな感じのところもあれば、「あなたもどうせすぐに辞めるんでしょ?」という態度で接してしまって、一定期間働かなければ仲間として迎え入れないところもあるのかなと思います。

 

気持ちはわからなくもないですが、これでせっかく入った新人が辞めてしまっては元も子もありませんよね。

 

ということで、今回は「新人の定着率を上げるためにすぐに取り入れてほしい具体的な方法」について解説していこうと思います。

 

今回説明する方法は、管理職や指導担当だけでなく、職場の誰にでもできる簡単な方法ですから、ぜひ読んで実践をしてもらえたらとても嬉しいです。 


新人が本当に知りたいことは「業務内容」ではない。

  

それでは、まずあなたに質問をします。

 

あなたは転職をして、新しい職場での初日を迎えました。

 

さて、あなたは新人として、まずは何を知りたいですか?

 

どんなことを教えてほしいと思いますか?

 

考えてみてください。

いかがでしょうか…。

 

私は今まで色々な職場を渡り歩いてきたので、新人の経験は人よりは豊富だと思っています。

 

だからこそ「新人が最も知りたがったいること」って、実はとても単純なことなのですが、迎え入れる側は意外とわかっていないものなんだなと感じるのです。

 

新人が最も知りたいことは、実は「業務内容」ではありません。

 

そもそも、業務内容は教えてもらって当たり前ですよね。

 

参考までに、私がこれまでに新人として入った職場で知りたかったことを書いてみます。

 

「定時は10時だけど、何分くらい前に出社すればいいのかな?15分くらい前に行くのが普通だと思うけど、大丈夫かな?」

 

「上司からは『終業時刻になったら帰っていいよ』と言われたけど、本当に帰って問題ないのかな?みんな忙しそうにしているのに、帰ってしまって『空気が読めない』とか言われたりしないかな?」

 

「冷蔵庫があるんだけど、勝手に使っていいのかな?」

 

「シフト希望が回ってきたんだけど、自分も希望を書いていいものなの?」

 

「誰か怖い人とかいるかな?気を付けた方がいい人がいたら知りたいな…」

 

「『わからないことがあればいつでも声をかけてね』と上司は言ってくれたんだけど、忙しそうにしているのに話しかけて迷惑じゃないかな」

 

「一斉送信でメールが来たんだけど、これって返信した方が良いのかな?」

 

「この職場ってどんな感じなのかな?緩い職場なのかな。それともけっこう時間とかに厳しいのかな」

 

ざっと思いついたものを挙げるとこんなところでしょうか。

 

私はけっこう臆病なので、人よりも色々と気にするのかもしれませんが、これって、実は転職経験がある人にしかわからないことでもありますよね。

 

理解してほしいのは、新人というのはとても不安で緊張していて、地雷を踏むことを何よりも恐れます。

 

ただ、新しい職場のどこにどんな地雷が埋まっているのか、それがわからないからとても緊張するんですよね。

 

新しい職場の風土やルール、人間関係などを把握していないと、自分ではそんなつもりはなくても地雷を踏んでしまうリスクはあり、それにより「今度の新人は空気が読めない」とか言われてしまったら悲劇です。

 

つまり、新人が最も知りたいことは、職場の風土やルール、人間関係など、いわゆる「職場の小さな当たり前」の情報なのです。


「職場の当たり前」を教えてあげることで、新人は安心感を持つ。

 

新人を一日でも早く職場に適応させたいなら、新人に「職場の小さな当たり前」をたくさん教えてあげることです。

 

「うちの職場はみんなルーズなんですよ。毎朝、定時の5分くらい前に雪崩れ込んでくるやつもけっこういますよ」

 

「今は研修期間なので、定時になったらパソコンの電源を落として、周囲に声をかけて帰ってもらっていいですよ。研修が終わったら残業になることも増えると思いますけど、今は帰ってくださいね。気遣い不要です!」

 

「冷蔵庫とか自由に使ってくださいね。でも、飲み物に名前書いておかないと、飲まれちゃうかもしれませんよ笑」

 

「シフト希望は自由に出してください。ただ、希望にそえないことも当然ありますので」

 

「うちは緩い職場なので、雑談とかは適度に楽しくやってますよ。ただ、〇〇さんが来たら気を付けてください。あの人はそういうのが好きじゃないみたいなので」

 

「私はすごく忙しそうで話かけづらいと思いますけど、わからないこととか困ったことがあれば必ず声をかけてくださいね」

これらは、緊張している新人にとってはすごく貴重な情報なのですが、中にいる人からしたら当たり前の情報であり、「あえて教えるほどのことでもない」と思われがちです。

 

だから「わからないことがあれば何でも聞いてくださいね」で済まされてしまうのだと思いますが、新人からしたら「この職場に怖い人いますか?」なんていきなり質問できるわけないですよね。

 

同期が仲良くなれるのって、こういう不安を分かち合えて、お互いに必要な情報を共有できるからですよね。

 

上司や先輩に質問できないようなことを率直に口にできて、「〇〇さんには気を付けた方がいいらしいよ」といった超重要情報をシェアできるわけですから、多少気が合わなくても一時的には互いを必要とするのです。

 

ただ、中途採用のように同期不在の場合は、このような情報が入ってこないので怖いですよね。

 

一定期間過ごさないと職場のことがわからないので、当面は緊張しながら、恐る恐る過ごすことになります。

 

だから、早く職場のことを教えてあげて、不安を安心に変えてあげる必要があるのです。

 

新人の定着率が良い職場は、この辺りの気遣いがとてもうまいんですよね。

 

上司からどんどんそういうこと伝える職場もありますし、あとは、同僚がランチに連れ出して「うちってこういう職場だから!」と教えてあげています。

 

これは新人にとっては本当にありがたいことですよね。


大切なのは、「客観性」と「想像力」。

 

ここまで説明して気づく方もいらっしゃるかと思いますが、このように新人に関わるには、まずは「客観性」が必要なのです。

 

あなたの職場では当たり前のことでも、それは「新人にとっては当たり前ではない」ということを理解しないと、説明のしようがありません。

 

だから、まずはあなたの職場の当たり前を客観視して理解してみること。

 

ここから始めてみましょう。

 

手っ取り早いのは、中途で入った人に「うちってどうなの?」と直接聞いてみることです。

 

自分では全く気付かなかったような意外な回答が返ってくることがありますから、ぜひ試してみてください。

 

また、新人に関心を持ち、気持ちを想像することも大前提として必要なことです。

 

転職経験がない人は、子どもの頃、親せきや友達の家に泊まりにいった時のことを思い出してみてください。

 

自分の家では当たり前のことでも、他の家ではそうではないことがたくさんあって、驚き戸惑いましたよね。

 

そこで「自分の家と違うから落ち着かないでしょ?」と声をかけてもらえたらとても安心しませんか? 

 

これと同じなのです。

 

相手の気持ちに立ってみて、どんなサポートやどんな声かけが新人の助けになるのかを想像することです。

 

これは、利用者さんや患者さんに普段やっていることと全く同じですから、難しいことではないはずですよね。

 

まずはあなたにできることから、取り組んでみてください。