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パワハラをなくしたい職場が、今すぐ取り組むべき「言葉の使い方」とは? | 「評価」と「観察」の違いを理解する。

 

こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

パワハラ問題やいじめの問題は、ニュースなどでもおおきく取り上げられて、会社でもパワハラやいじめなどに対する対策を考えないといけないと思っているところも多いはずです。

 

あなたの職場ではどうでしょうか?

 

パワハラやいじめはコミュニケーションの問題でもあります。

 

そして、実はパワハラは、言葉の使い方を変えることで問題を改善できるのです。

 

今日は職場のパワハラやいじめ、そして介護や福祉の現場で起きる虐待を防ぐため、職場でできる取り組みについて話をします。

 

先に少し硬い話から入りますが、職場のパワーハラスメントの防止を企業に義務付ける改正労働施策総合推進法が今年5月に成立しました。

 

義務化は大企業で2020年4月、中小企業では2022年4月から導入される見通しです。

 

この法律では、職場でのパワハラを「職務上の優位性を背景に、適正な範囲を超えて従業員に精神的、身体的苦痛を与える行為」と初めて定義し、相談窓口の設置やパワハラへの対処方針を就業規則で定めることを企業に義務付けています。

 

このような流れを受け、今後企業もパワハラ防止対策に取り組まざるを得なくなるでしょう。

 

私の方にもパワハラの研修についての問い合わせが先月からいくつか来ていまして、そんなこともあり、私がパワハラや虐待防止の研修で話すことの一部をブログで書いていこうかなと思っています。

 

経営者や管理職の方には絶対に知っておいて欲しい内容なので、読んでもらえると嬉しいです!

 


「あいつはやる気がない」という言葉の危険性とは?

「今度入った新人は本当にダメ。やる気がないよ」

 

「課長は本当にひどい!私たちのことなんてどうでもいいと思ってるからね」

 

「彼が学校を休んでるのはただの甘えだよ」

 

「あの利用者さんは本当に自分勝手でわがままだ」

 

あなたの職場では、今日もこんなメッセージが蔓延していませんか?

 

誰かが、誰かについての印象を語る。

 

職場、学校、家庭、サークルなど、人が集まる場所であれば、自然とそんなやりとりは出てくるものです。

 

私はパワハラや虐待防止の研修をする時に、まず、自分たちが日常的に何気なく交わしているメッセージのリスクを考えてもらっています。

 

「今度入った新人は本当にダメ。やる気がないよ」

 

こういうやりとりは、どの職場でもよくある話ですよね。

 

私は別に、「人のことを悪く言ってはいけない」なんて安易なことを言う気はありません。

 

でも、一度立ち止まり、考えてみてほしいです。

 

この言葉を日常的に使い続けると、一体人間関係にどんなリスクが生じるでしょうか。


「やる気がない」というのは個人の「評価」であり「事実」ではない。

 

当たり前の話なんですが、「あいつはやる気がない」というのは、個人の印象を述べている言葉ですよね。

 

その人が相手に対して感じた印象、いわゆる「評価」が「やる気がない」なのです。

 

ただ、この言葉の怖いところは、それがまるで事実であるかのように語られ、周囲の人間を強力に巻き込むパワーを持つことです。

 

ただの個人の印象なのに、付箋を貼るように、その人に「やる気がない」というレッテル張りがなされ、それがいつのまにか事実として語られる。

 

「あいつはダメなんだよ」

 

「やる気がないからね」

 

こうやって語られていくと、「今度入った新人はやる気がない」というのが「事実」になってしまいます。

 

そうなると、「やる気がないんだからダメだ」「真面目ではない」「きっと仕事なんてどうでもいいはずだ」と、どんどん言葉が独り歩きして、その人へのいじめが助長されていく流れになりやすいのです。

 

今度の新人は「やる気がない人間」だから、周囲がその人の人間性を尊重しなくても問題ない。

 

その人を傷つけてもいい。

 

それだけの権利がこちらにはある。

 

そんな風に、本人への暴力(ここで言う暴力は、身体的な暴力のみならず、暴言や無視などの精神的暴力も含みます)を正当化してしまう環境が出来上がるのです。

 

パワハラ、いじめ、介護や福祉の現場で起きる虐待の背景には、このような日常何気なく交わしている「言葉」の問題も深く関わっています。


「評価」と「観察」の違いを理解する。

このような言葉の独り歩きを防ぐために、まず理解して頂きたいこと。

 

それは、「評価」と「観察」の違いです。

 

例えば

 

「今度入った新人は、この3ヶ月で2回遅刻している」というのが「観察」です。

 

観察は、ただ確認できる事実を述べているだけで、本人を批難するメッセージではありません。

 

この観察に対する個人の評価が「今度入った新人は本当にダメ。やる気がないよ」になるんですよね。

 

この二つの違いを理解しないと、個人の評価を「事実」として語ってしまうのでとても危険なのです。

 

他にも、冒頭にあげた言葉を「評価」と「観察」にわけてみますね。

 

【観察】

「課長は会議で私たちに何の意見を求めることもなく、方針を決めた」

【評価】

「課長は本当にひどい!私たちのことなんてどうでもいいと思ってるからね」

 

【観察】

「彼は二学期になってから、体育の授業がある日は学校を休んでいる」

【評価】

「彼が学校を休んでるのはただの甘えだよ」

 

【観察】

「あの利用者さんは、スタッフが話しかけても何も反応せずにテレビを見ていた」

【評価】

「あの利用者さんは本当に自分勝手でわがままだ」


安全なメッセージは、「観察」の後に「私」を主語に「評価」を語る。

 

ここまで、理屈は理解できましたか?

 

ただ、理解はできても、実践はなかなか難しいですよね。

 

まず、今日私が伝えたいことは、パワハラやいじめなどが多い職場ほど、「評価」と「観察」の区別がなされず、暴力的なコミュニケーションが蔓延しやすいということです。

 

そんな職場では、評価がまるで事実として扱われ、「彼はやる気がないから」「あの人はずるいから」と今日も暴力が正当化されます。

 

パワハラ、いじめ、無視、虐待

 

誰かが誰かを傷つける。

 

傷つけられた人は辞めていくか、ただただ耐えて燃え尽きるか、逆に怒りを溜め込んで自分も誰かを傷つけるなど、怒りが怒りを呼び、無法地帯になります。

 

あなたの職場はいかがでしょうか。

 

もし、あなたの職場に暴力が蔓延していれば、まずは職場で日常的に交わされている言葉のリスクを振り返り、できるところから言葉の使い方を変えてみてほしいです。

 

安全なメッセージとしては、「観察」の後に、「私」を主語に「評価」を語ることです。

 

「今度入った新人は、この3ヶ月で2回遅刻している。私は、彼はやる気がないと感じるんだよね」

 

どうですか?

 

初めに観察を伝え、それに対する印象を自分を主語に語る。

 

「やる気がない」というのも、「私」を主語にすることで、あくまでもその人が感じている印象だということが伝わります。

 

これだけで、だいぶ安全な言葉に生まれ変わります。

 

私は職場の管理職の方に対し、新人や部下についての印象を語る時には、できるだけ「評価」と「観察」をきちんとわけて話すように伝えています。(もちろん、管理職ではない方も気をつける必要があります)

 

また、介護や福祉の現場で働く方にも同様で、患者さんや利用者さんについて語る時、「あの人はずるい」「甘えている」などという言葉ではなく、きちんと「観察」を伝えてから、専門家としての「評価」を語る。

 

これをとにかく意識することが大切です。

 

不自由に感じるほどギチギチにやる必要はないですが、全員が「言葉のリスク」を正しく理解すること。

 

これこそが、安全な職場を作るために欠かせないことなのです。

 

パワハラの話になると、「どこからどこまでがパワハラなんですか?」ということがどうしても気になってしまうと思うのですが、私はそんなことよりも、今すぐに安全な職場に変えていくための方法を学ぶことが大切だと思います。

 

今後も、ブログでこのような話を続けていきますので、ぜひ読んでもらえると嬉しいです。

 

※参考記事

部下からパワハラ被害の相談を受けたら、必ず読むべき職場の対応マニュアル①


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