職場で自殺者が出たら、押さえておきたい「1か月後のフォローアップ」と「記念日反応」


1ヶ月経っても症状が改善しない社員は専門家につなぐ。

 

惨事が発生し、10日前後で個人差が出やすいという話をしましたが、その次に、より注意して社員の状態を観察すべき時期は「1ヶ月」です。

 

これまで説明してきましたが、急性ストレス反応は、通常2〜4週くらいかけて消失していきます。

 

私の経験においても、(惨事のレベルによりますが)1ヶ月くらい経過すれば多くの人が症状の改善、消失を実感しています。

 

「あの時はどうなるかと思ったけど、今はだいぶ落ち着いてきました」

 

「初めの2週間くらいは本当にきつかったですけど、今は眠れてます。言われた通り、確かに1ヶ月くらいで良くなるものですね」

 

こんな風に語る方が多く、それに伴い、職場も徐々に落ち着きを取り戻してきます。

 

ようやく嵐が過ぎ去ったような、そんな感覚に近いと思います。

 

担当者は、ここで安心してはいけません。

 

ここが重要なタイミングです。

 

多くの人が回復している一方で、この時期においても未だに眠れなかったり、恐怖やフラッシュバックに苦しんでいたり、症状が治まっていない人もいます。

 

つまり、PTSDの可能性が考えられる人たちです。

 

そんなリスクを抱える社員に職場が早期に気づき、専門家につなげるなどのサポートが必要になります。

 

そのためにも、このタイミングで改めて社員に声をかけて状態を確認しましょう。

 

その時点で未だに状態が良くない社員がいれば、心療内科や精神科を受診させる、職場に産業医やカウンセラーがいれば面談を受けさせるなどの対応が必要になります。

 

ここで該当する社員にスムーズに診察やカウンセリングを受けてもらうためにも、これまで説明してきた通り、1ヶ月の間に職場が適切な対応をとることが大切です。

 

社員が職場に対する安心と信頼を感じること、そして急性ストレス反応とPTSDについての正しい知識をつけておくことで、対応がしやすくなります。


1年後の「記念日反応」に注意する。

 

ここまで、自殺が発生してから1ヶ月の間に職場がとるべき対応について、最低限押さえてほしい内容を説明しました。

 

1ヶ月が経過した後も、調子を崩している社員がいないか観察して適宜声をかけること、そして安全に語り合える環境をつくること、この二点に留意していきましょう。

 

2ヶ月後、3ヶ月後、一年後など、惨事が原因と思われる不調者が突然出ることは珍しくありません。

 

例えば、自殺が発生した時にとても責任の大きなプロジェクトを担当していた人が、プロジェクトがひと段落したタイミングで燃え尽きて会社に来れなくなる、ということもあります。

 

大きなショックを受けた時に強い緊張感で自分を保たざるを得ない立場の人がいたら、緊張が緩む時期に特に注意を払いましょう。

 

また、「記念日反応」と言って、命日や亡くなった時期になると辛い出来事を思い出し、具合が悪くなる人もいます。

 

よって、一年後もリスクが高まる時期と捉えて、社員への声がけや情報提供を行いましょう。

 

次回に続きます。

続きはこちら → 自殺者が出て大混乱の職場が、今すぐに惨事対応の専門家を頼るべき理由

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