テクニックありきの「履き違えた共感や傾聴」は相手を傷つけ、簡単に信用を失う。


こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

先日、カウンセリングの時にあるクライエント様からこんなことを言われました。

 

「山崎さんの前に相談していたカウンセラーは、私の話に対してとても大げさというか、何をいっても『それは大変でしたね』『がんばりましたね』とか言うんですよ」

 

「私を励ましてくれているんだろうなと、初めはそんなに悪い気はしませんでしたけど、でも、なんか不自然というか。『うん、うん』と相槌を打って、『それは大変ですね』って」

 

「なんだか、私を見下しているの?みたいな。だんだん腹がたってきて、嫌になって、2回で行くのやめました」

 

「山崎さんは、毎回私が色々と話しても、淡々と受け止めてくれるというか。黙って聴いてくれるというか。私にとってはとても心地いいんですよ」

 

こういう話を私がされるのって、一度や二度じゃないんですよ。

 

けっこうこんな話が多い。

 

なので、今日は私がいかに優れたカウンセラーであるかを話そうと思います!

 

というのは冗談で

 

対人援助職によくありがちな「履き違えた共感」について話したいと思います。

 

「共感」とは。

 

ウイキペディアには「他者と喜怒哀楽の感情を共有することを指す」とあります。

 

相手が「仕事でミスをして、みんなに迷惑をかけて辛い」と暗い表情で話をしてきたら、「あたかも」あなたが相手の立場になったかのように、相手に寄り添い気持ちを想像します。

 

私の場合は、まずは詳しい状況を聴きます。(みんなやってますよね)

 

どんな状況でミスをしたのか。

 

そのミスのレベルはどんなものなのか。

 

周りはそのミスをどう思っているのか。

 

などなど、とにかく色々聞いて状況をより具体的にイメージします。(私はカウンセラーの中でもかなり詳しく聴く方だと言われます。)

 

その中で、自分が同じような経験をした時のことを想像するんですよね。

 

あー、自分もやったな、あの時あんなミス。

 

あの時は血の気が引いたな。

 

たまたま電話がつながって最悪の事態を免れたけど、あれは本当にシャレにならなかったな。

 

上司は「運よく無事にすんだけど、そうならなかったら始末書もんだよ」といったけど、確かにあれは運が良かった。

 

でも、あれは怖かった。参った。ばつが悪かった。

 

とにかく、ミスが発覚した時の血の気の引き具合は今でも覚えているな。

 

そして、運よく最悪の事態を免れた時のあの安堵感。

 

ようやく呼吸ができたあの感じ。

 

あの時はほんとに大変だった。

 

こんなふうに、自分の経験とその時の思考、感情、身体の反応を頼りに、相手の気持ちを想像するんですよ。

 

そこで、適切な言葉や言い方を選ぶのです。

 

「・・・。そうですか・・・。それは大変でしたね」と言う時もあるし、

 

かける言葉が本当に見つからない時もあるので、そういう時は「そうですか…」と言ったまま黙ってます。

 

本当にかける言葉がみつからないほど悲惨で苦しい話も、当然ながら多いのです。

 

黙ったまま、ただそこにいる。

 

その沈黙が1分以上になることだってざらです。

 

ただただ一緒にいる。

 

それしかできないこともある。

 

これだって共感なのです。

 

いかに相手の気持ちに寄り添うか。

 

相手の気持ちに近づけるか。

 

そのために、自分の経験や感情をフル活用する。

 

1ミリでも相手の心に近づく。

 

繰り返しになりますが、これが私の共感です。

共感の大前提として、「100%相手の気持ちになることは無理」ということなんですよ。

 

どんなにがんばって相手の気持ちを想像しても、気持ちに近づくことはできるけど、相手にはなれない。

 

これがわかってないと、安易に「お気持ちはよくわかります」なんて言ってしまい、相手を傷つけるのです。

 

「私の何がわかるの?」「軽々しくそんなこと言わないでよ!」と怒られます。

 

「気持ちはわからない」からこそ真摯に聴いて、少しでも理解できるように想像し、言葉を慎重に選ぶ。

 

そのようなこちら側の真摯な姿勢が伝わるからこそ、相手は「わかってもらえる」「この人に相談したい」と思うのです。

 

このような信頼関係を利用者さんや患者さんと構築するために、援助職は普段から自分の感情を大切にして、日常の些細な経験から生じた気持ちを覚えておくことが大事だと思うんですよね。

 

援助職は、良いことも悪いことも、全ての経験が肥やしになるのです。

 

ひとつひとつの経験を大切にすれば、共感スキルが勝手に上がっていきます。

 

相談を受ける上での力強い足腰が鍛えられます。

 

これがあるからこそ、テクニックがいきるのです。

 

これを抜きにテクニックに走ると、トラブルが増えますよ。

 

ネットや本にはいくらでも共感、傾聴のテクニックが書いてありますよね。

 

・相槌を打つ。

 

・相手の言葉をオウム返しにする。

 

・要約する。

 

・「がんばりましたね」「大変でしたね」などの共感の声がけ

 

・口を挟まず静かに聴く

 

これらは、まぎれもなく重要なテクニックなんですよ。

 

本当にその通りだと思います。

 

私も使います。

 

昨日もやりました。

 

でも

 

でもね

 

相手の気持ちに寄り添う努力を怠り、ただただテクニックに走る人。

 

形式通りに相槌を打ち、オウム返しをして、「大変でしたね」と声をかける。

 

「あなたはがんばっていますよ」「そのままでいいんですよ」なんてロボットのように肯定的な言葉をかける。

 

それは共感ではないですよ。

 

ちょっときつい言い方になりますが、私からすると、「ルーティンワーク?」と言いたくなる手抜き感。

 

洋服を買いに行った時に、何を試着しても「とってもお似合いです!」とキャップを斜めに被った店員にハイテンションで言われているような雑な感じ。

 

スポーツジムでストレッチを教わっていて、誰がどう見ても体がガチガチに硬いのに、若くてイケメンのスタッフから「全然OKです!」「いけます!」「すごいです!」と言われているような子ども扱いされてる感?

 

そんな質の低い共感に見えるんですよね。

 

「絶対そう思ってないだろ!」「誰にでも言ってるよね?ばれてないと思ってる?」と突っ込みたくなるような。

 

これをやっていると、利用者や患者、そしてカウンセリングならクライエントを傷つけることになりますよ。

 

100人の患者がいれば、100通りの心がある。

 

その100人それぞれの気持ちを100回想像することを怠り、ワンパターンにテクニックに走るわけですから、問題が起きるのは当然です。

 

テクニックの前に、目の前にいる相手をちゃんと尊重して、気持ちを想像すること。

 

これを徹底しましょう。

 

私は学校の仕事もしていますが、相手が小学生でもやっていることは変わりません。

 

「子どもだから、話を聴いて、前向きに声をかけよう」なんてテクニックありきの愚かなことはしません。

 

それは子どもに対する侮辱です。

 

年齢なんて関係ないのです。

 

「マンガを母親に没収された」と言われたら、その時の気持ちを徹底的に想像します。

 

自分が小学生の時に買ったばかりのコロコロコミックを没収されたらどんな気持ちになるのか。

 

必死に手繰り寄せますよ。

 

文字通り「必死」です。

 

何度も繰り返します。

 

相手の立場になり、相手の気持ちを尊重し、少しでも相手の気持ちに近づけるよう、耳を傾けて、自分の経験を頼りにして想像し、言葉を選ぶ。

 

これがあるからこそ、テクニックが活きるのです。

 

気の利く言葉なんていりません。

 

相手を勇気づける言葉なんて、できればでいいです。

 

ただただ、感情を共有する。

 

共にそこにいる。

 

これが大切なのです。


「自分の気持ちがわからない」と「相手の気持ちがわからない」

 

どうしても共感がうまくできない、苦手だという方は、「余裕がなくて話が聴けない」とか、または「自分自身の気持ちがよくわかっていないので相手の気持ちを想像できない」などの課題があるのかもしれません。

 

対人援助職は自分の感情を抑圧しがちなところがありますから、「自分の感情を抑圧し続けた結果、相手の気持ちがわからなくなる」というのは私の中では「あるある」です。

 

「辛い」ことはきちんと辛いと受け止める。

 

「楽しい」ことは素直に楽しむ。

 

こういう習慣を持っていれば、相手の「辛い」をイメージできる経験が蓄積されるのです。

 

例えば、あなた自身が「感情のものさし」を持っていると思ってください。

 

そのものさしのメモリが、より細かい方がいいのです。

 

ミリ単位でメモリがついていれば、ミリ単位の感情がわかるのです。

 

同じ「辛い」でも、様々な辛いがある。

 

メモリが細かいほど、より具体的に相手の「辛い」を想像することができます。

 

感情のメモリがセンチメートル単位だったらどうでしょうか。

 

「それは辛いですね」と言えても、細かいところまでイメージができませんよね。

 

結果、ワンパターンな共感になったり、「もっとこうしてみたらどうですか?」なんて安易に助言してしまう。

 

うまくイメージできないと、どうしてもテクニックや助言に走ってしまうものです。

 

それが相手には事務的な対応に見られたり、「この人にはわかってもらえない」と思われる。

 

こんな課題を抱えている方は多いと思います。

 

もしこの話を聴いて「私のことだ!」と思ったなら、まずは「自分の感情を大切にする」ことから始めてみてください。

 

このブログが役にたつと思います。

「思考」と「感情」の違いがわからないと、ストレスが倍増する。

 

感情を抑圧している方は、まずはポジティブな感情を味わうことから始めるといいですよ。

 

楽しい、嬉しい、安心、楽、ワクワクするなど

 

そういう感情を増やす、味わう習慣をつけましょう。

 

帰りに甘いものを買って帰るとか、懐かしいマンガを読むとか、映画を見に行くとか、マッサージでも何でもいいのです。

 

「嬉しい」「楽しい」がきちんとわかると、今度は「嬉しくないな」「これは楽しくない」がわかってきます。

 

それが「辛い」だったり、「苦しい」「悲しい」だったりするのです。

 

また、カウンセリングを受けて頂ければ、あなたの援助職としての課題を整理し、具体的な解決方法を一緒に考えさせていただきます。

ぜひお気軽にご利用ください。

 

いつでもお待ちしています。


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