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「役割と責任の境界線(バウンダリー)」が簡単に明確にできる!「5つの質問」

 

こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

今日は、ある介護職の方の悩みを「役割」と「責任」の境界線を切り口に解説します。

 

境界線(バウンダリー)とは、「私」と「あなた」を区別する人間関係の境界線です。

 

バウンダリーが守れていれば、「私とあなたは別の人間であり、別の価値観や考えを持っている」ということをお互いに認め合うことができ、摩擦の少ない安全な人間関係を構築することができます。

 

お互いの人間性、役割や責任を尊重してコミュニケーションをとることができます。

 

相手の安全を奪ったり、自分の役割や責任を押し付けたり、または相手の責任を無駄に背負うような関係にはなりません。

 

この役割と責任の境界線がうまく保てない人は、どんなストレスを感じやすいのか、今日の記事で学ぶことができます。


ある介護職の悩み

3ヶ月前、私の職場に、前の職場で先輩だった男性が新しく入ってきました。

 

実はその先輩は、前の職場で私や複数の同僚にパワハラをして、みんなから訴えられて退職した人なんです。

 

当時、その先輩はやたらと職場で威張り倒してて、気に入らないと大きな声を出して、私やみんなを怖がらせるんです。

 

入ったばかりの新人をすぐに泣かせて辞めさせてしまったこともありました。

 

利用者さんに暴言を吐いたことも一度や二度ではありません。

 

そんな彼の言動を職場もかなり問題視して、パワハラとして厳重注意を受けて、結局辞めたんですよ。

 

それからどこで何をしているのかわからなかったんですけど、驚きました。

 

私の職場に入ってきて、この3ヶ月、とてもニコニコとふるまっていて。

 

みんなからは「腰が低い」「いい人」と言われています。

 

私には「どうも」「久しぶりです」くらいの感じで、当時のことについては向こうからは何もふれてこなくて。

 

私は、ただただ怖いです。

 

来月から担当する仕事がかぶるので接触が増えるんです。

 

今から不安です。

 

仲のいい同僚に彼の話をしたい気持ちはあるんですけど、それで噂が広まって、結局彼に不利益なことが起きたら私が恨まれないも心配で話せません。

 

どうしたらいいでしょうか?


あなたがこのパワハラ加害者の元先輩の立場なら、どう対応しますか?

 

元同僚と別の職場で一緒になるというのは、まさに「援助職あるある」です。

 

それが関係の良い相手なら嬉しいことです。

 

でも、今回のようにわけありの相手なら大変です。

 

しかも、相手はパワハラの加害者。こちらは被害者。

 

(以下、この被害者をAさんとします)

 

いくら過去の出来事とはいえ、被害者にとっては当事者を目の前に、過去のことにはなりません。

 

そして、恐ろしいのはその元同僚が「いい人」として通っていること。

もしかしたら心を改めたと見れるかもしれませんが、それなら当時傷つけてしまったAさんにきちんと謝ってきてもいいですよね。

 

特にそのことにふれてはこず、日々過ごす。

 

これは本当にきついですよね。

 

お悩みになるのも当然のことでしょう。

 

あなたなら、このような状況にどう対応しますか?

 

この悩みを解決していくヒントが、「責任・役割の境界線」です。

 

まず、この先輩は過去に「パワハラという過ち」を犯し退職しました。

 

そして、まだこの業界で仕事を続けています。

 

ということは、過去の問題を知っている元同僚とどこかで一緒になる可能性は明らかにあるわけです。

 

または、一緒にはならなくても、転職先にどこかから情報が入ることだって考えられますよね。

 

そして、実際に過去を知っているAさんが転職先にいた。

 

さて、あなたがこのパワハラ加害者である先輩の立場だったら、どうしますか?

 

この人がやっているように、傷つけたAさんに謝ることもなく、「いい人」キャラをやりますか?

 

正解は特にありません。

 

何が正しいかではなく、自分ならどうありたいか。

 

大切なのは、自分の選択した行動には必ず責任が伴うということを頭にいれてくださいね。


元先輩の果たすべき「役割」と「責任」とは。

 

私であれば

 

まず考えるのは、Aさんがいるということは噂が広まるのは時間の問題だと思いますね。

 

「あ、これは一ヶ月もしないうちに自分のパワハラが知れ渡るな」と覚悟します。

 

ただそれは仕方がないことです。

 

自分が犯した過ちであり、そして、この業界で引き続きやっていくことを選んだわけですから、その責任は自分がとらないといけません。

 

まず、Aさんに直接謝ります。

 

嫌な思いをさせて申し訳ないこと、心を改めてやっていこうと思っていること、そして、Aさんの負担を減らす為にも、自分から上司に過去のことを報告すること

 

これを伝えるかなと思います。

 

そして、上司にきちんと話します。

 

それが試用期間であれば継続して使ってもらえないかもしれません。

 

でも、仕方がないです。

 

この狭い業界でやっていくわけですから、そのくらいの覚悟は必要です。

 

上司とAさんに伝える。

 

どちらが先かはその時によりますが、これは私の責任であり果たすべき最低限の役割だと思います。

 

さて、実際にこのAさんが悩んでいる状況に戻ります。

 

「いい人」キャラをやっているこの先輩は、自分自身がとるべき責任をとっているでしょうか?

 

果たすべき役割を果たしているでしょうか?

何も果たしていませんよね。

 

ということは、どうして責任を果たさない先輩が「いい人」として成立していると思いますか?

 

職場で受け入れられていると思いますか?

 

よく考えてみてください。

 

それは、誰かが先輩の代わりに、役割と責任を引き受けているからですよ。

 

そう、Aさんです。

 

Aさんが、この人が背負うべき役割と責任を一手に引き受け、辛い思いをしているのです。

 

そして、そんなAさんの気持ちは先輩からいつまでも尊重されることがありません。

 

これが対等な関係と言えるでしょうか?

 

相手のことを尊重した人間関係と言えるでしょうか?

 

Aさんが我慢を続けていること、複雑な思いをしていること

 

これは誰でも簡単に想像がつくはずです。

 

この気持ちに対する配慮を先輩がいつまでも怠るなら

 

私であれば、もう必要以上に役割を背負うことはしません。

 

自分の気持ちをもっと大切にするかなと思います。

 

上司が信頼できる人なら、私は正直に伝えて、一緒に仕事をするのが不安なので来月からの配置を見直してもらえるかなど相談してみますね。

 

あくまでも自分の場合ですが。


境界線を学び、自分のために、自分が変わる。

 

この悩みを境界線で改めてまとめ解説してみると

 

・先輩による、本来自分が背負うべき役割や責任の放棄。


・先輩による、Aさんへの尊重を欠いた行動(無関心)。


・Aさんによる、相手が背負うべき役割、責任の過剰な抱え込み(共依存)


・そんなAさんに依存して「いい人」を続ける先輩。

 

こんな人間関係が生じていると言えます。

 

無関心を続ける先輩だけでなく、相手の役割と責任を背負い込むAさん自身にも共依存の課題があるように感じます。

 

こうやって、起きていることを俯瞰してみて、自分はどうしたいのかとよく考える。

 

対等な関係なのか

 

お互いがお互いに役割と責任を果たすことができているのか

 

相手の人間性を尊重できているのか

 

これを評価できるようになるのが「境界線を学ぶ」ということです。

 

そして、その関係自体に違和感を持つならば、相手を変えるのではなく、まず自分が変わってみるのです。

 

相手を変えるために変わるのではなく、自分のために、自分が変わる。

 

自分にできることを考える。

 

どんな自分であれば後悔しないかを考える。

 

これが大切ですよ。

 

自分に置き換えて、じっくりと考えてみてくださいね。 

 


「役割と責任の境界線」を明確にする「5つの質問」

 

最後に、人の役割や責任を背負いすぎてしまうあなたが、「人の役割と責任を背負いすぎていないかどうか」を答えるだけで明確にできる「5つの質問」を紹介します。

 

もしあなたが人間関係に疲れている場合、以下の質問で問題を整理してみてください。

 

質問① この問題で一番困っているのは、誰ですか?

 

質問② この問題で最も困るべき人(この問題について責任がある人)は、誰ですか?

 

①=②にならない場合、さらに質問に答えてください。

 

質問③ ②の人が困っていない理由はなんですか?

 

質問④ ②の人が困るために必要なことはなんですか?

 

質問⑤ 最後に、④で回答した対応ができない理由はなんですか?

 

これにひとつずつ答えてみると、相手の問題、そしてそれを成立させている自分自身の課題が浮き彫りになります。

 

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ストレスに強くなる!人間関係の境界線(バウンダリー)の引き方

 

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