こんにちは。
エイダーズ山崎正徳です。
近年、介護施設や障害者施設における、スタッフから利用者、入居者への虐待が社会問題化しています。
報道などをみる限り、虐待が発覚した施設では、虐待が突発的に起きたというよりも日常的に繰り返されていたと思われるケースも多いですよね。
今日は、ついつい利用者さんに説教ばかりしてしまう援助職の方に記事を書きますが、援助職側が良かれと思って助言しているつもりでも、「客観的には虐待と捉えられてしまうリスクのあるコミュニケーション」のひとつが説教だと思います。
ぜひ、この記事を読んでご自分のコミュニケーションを点検してみてください。
相手を変えようとすればするほど、エネルギーが必要になる。
「もっとこういう考え方をもったら?」
「違いますよ。この前話したじゃないですか。よく聴いてください。いいですか?」
「だからさー、どうしてこうしないの?」
こうやって、利用者さんや患者さんに説教をしがちな人は、どの職場にも大体ひとりはいますよね。
あなたもそうではないですか?
患者さんが話し終わる前に口を挟んだり
相手よりも大きな声を出して遮ったり
相手が納得するまで会話を終えられなかったり
あなたの思うような行動をしない、考えをもたない利用者さんを、説教して考えや行動を変えようと一生懸命になっていませんか?

あなたは、とても正義感が強く、真面目で、利用者さんの問題に本気で向き合っているのだと思います。
優しく、一生懸命な援助職なんだと思います。
でも、そんなあなたも、なんとなく自覚していませんか?
ついついムキになってしまう自分への違和感
どうして他の同僚のように穏やかに対応できないんだろうか
もしかしたら、私は利用者さんからけっこう怖がられてないかな?
毎回こういうやりとりしていて、けっこう疲れるな
こうやって、相手を思うあまりに、あなた自身も辛い思いをしていませんか?
それはそうだと思います。
なぜなら、「相手を変えよう」とすればするほど、多くのエネルギーが必要になるからです。
時には相手を傷つけるかもしれない
そして、あなた自身も傷つくかもしれない
加えて、あなたが相手を変えようとすればするほど、相手も不全感や不信感を持つようになります。
「話を聴いてもらえないな」
「この人の言うこときかないと怒るから、とりあえずわかったと言っておくか」
「いちいちうるさいな」
だから、あなたは余計に説教します。
相手が思うように動かないから。
何度言ってもわからないから。
納得してくれないから。
そうですよね?
そんなあなたに必要なことは、「相手を変えよう」とする前に、まずは「自分が変わる」ことだと思います。
「相手を正したい」という思いが生じる瞬間に注意する。

もし「変わりたい」とあなたが思うなら、以下のことに注意してみてください。
説教ばかりしてしまう人は、「相手を正したい」という思いが生じる瞬間に最大の注意を払いましょう。
「正したい」
この思いが生じる瞬間が危険なのです。
そこで、口を挟み、説教をしてしまう。
相手を思い通りに動かそうとしてしまうのです。
「正したい」思いに気づいたら、その「思い」と「行動」を分けましょう。
「正したい」→「すぐに説教」の流れを変えるのです。
「正したい思いを持っているなー」、と思いながらも、口を挟まずにそのまま聴く。
まずここから始めましょう。
その他のポイントも含めて整理しますね。
□相手の話が終わるまで、決して口を挟まないこと
□相手の話を聴いている時に、「何を伝えようか」と考えることをやめること。話を聴く時は、相手の気持ちを理解することだけに集中する。
□自分の伝えたいことは、大きな声で早口で伝えず、ゆっくりと穏やかに伝える。
□決して感情的にならない。
□「私」を主語に伝える。「(あなたは)おかしい」ではなく、「私はこう思います」
□相手を納得させようとしないこと。考えの違いを確認するだけで充分。
□「相手の話」で話を終えてみる。「でもね」のように、最後に自分が納得して話を終えることをしない。
□「自分が絶対に正しい」という思いを捨てる。そんなことは絶対にあり得ない。

すぐにうまくできなくて大丈夫です。
習慣や行動パターンはそんなにすぐに変わりません。
プロ野球選手がバッティングフォームを変えるくらい難しいでしょう。
だから、毎日毎日点検すること。
素直に反省すること。
できない自分を責めないこと。
信じること。
長い目で見ること。
利用者さんや患者さんに「変われますよ」「がんばってください」と言いますよね?
それと一緒です。
あなたも変われます。
できることから始めてみてください。
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