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伊調馨パワハラ問題。「選手と恋愛する気持ちで指導する」栄監督の強い思いは、監督と選手の境界線を壊しトラブルに発展する。

 

こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

今日は、毎日のようにテレビで取り上げられている伊調薫選手への栄監督によるパワハラ問題についてバウンダリー(境界線)を切り口に語ってみます。

 

報道を見て印象を語るだけで、事実かどうかなんて全く分かりませんが、ちょっと気になることがあります。

 

それは、栄監督が「(選手を)好きにならないと本気で指導できない。俺はみんな好き。恋愛してると思っている」と語っていることについてです。

 

こう宣言しているわけですから、これは「監督」と「選手」という関係よりも、家族や恋人に近い関係を監督は求めているわけです。

 

心理的にも物理的にもとてもとても近い距離感。

 

監督と選手という境界線を超えた関係です。 

相手への強い思い入れのある人間関係ですから、監督の考えはこんな感じでしょうか。

 

□ おれがおまえをなんとかする

□ おれこそが最もおまえを理解している

□ おれはおまえを正しい方向に導くことができる

□ おれの期待する通りに動いてほしい

□ おまえはおれだけを信じるべきだ

 

この関係が成立するには、選手もこの思いに応えなければなりません。

 

こんな考えが必要です。

 

□ 監督が私をなんとかしてくれる。

□ 監督こそが私のことを最も理解してくれる。

□ 監督は私を正しい方向に導いてくれる。

□ 私は監督だけを信じる。

□ 私は監督の指示に従い動く。

 

この関係自体が悪いとか、そういうことではありません。

 

お互いが相手に強い思いを持つ関係はたくさんありますよね。

 

オリンピックでメダルを目指すレベルの師弟関係ですから、これくらいが当たり前なのかもしれませんしね。

 

でも、この関係は人間関係の摩擦が生じるリスクが高くなります。

 

なぜなら、「人は変わる」からです。

 

他の人の指導を受けたいと思うこともある。

 

マンネリを感じることもある。

 

ステップアップのために環境を変えたいこともある。

 

相手を嫌になったわけではないけど、悩む時期もある。

 

相手に変化が生じたときに、相手の気持ちや人間性を尊重できるかどうか。

 

ここが試される時です。

 

恋愛関係だと、これがけっこう難しい。

 

境界線が保てない関係は、こういう場面で柔軟な対応ができず、摩擦が生じやすくなります。

 

「おれがこんなにおまえのためにやってるのに」

 

「裏切ったな」

 

「どうしてわかってくれないのか」

 

このように、相手への思いの強さが、怒りや悲しみ、恨みに変わることもあるのです。

 

結果、信頼関係が破綻し、パワハラとして訴えられる。

 

思いが強いがゆえに、相手の変化を受け入れられず、気持ちを尊重できなかった。

 

「恋愛関係」ですから、こうなるリスクは元々あったのだと思います。

 

この関係を、もっとソフトな「摩擦が生じづらい関係」に変えていくとしたら、人間関係の距離感を見直すことです。

 

恋愛の関係から、監督と選手という関係に戻すなら、こうなります。

監督の考えは、こう変わります。

 

□ 私は監督という役割と責任に基づいて、あなたに指導を行う。

□ 私はあなたと課題を分かち合い、結果を出すために一緒に取り組む。

□ 監督と選手は対等である。

□ 私はあなたが自分の力で目的を果たせるよう、手伝う。

□ 指導者を選ぶ自由と責任は選手にあるし、私は選手の意思を尊重する。

 

選手の考えは、こう変わります。

 

□ 私は監督の指導に基づき、自分の責任で成長する。

□ 監督は、監督という役割と責任に基づいて私を指導している。

□ 私は監督と課題を共有し、私自身がよく考える。

□ 監督のことを尊重し指導を受けるが、指導者を選ぶ自由と責任は私にある。

□ 監督も私も、考えが変わることだってある。

 

お互いの考えや人間性を尊重できる、摩擦の少ない安全な人間関係。

 

これなら、相手が変わっても、強い怒りや悲しみが生じづらくなります。

 

距離が近いことがいけないとか、そういうことを言いたいわけではなく、「距離の近さが及ぼすリスクに無自覚である」ことがリスクだと私は思っています。

 

「選手と恋愛」と言うくらいの距離感でやるなら、選手に「重い」と思われたり、逃げられたりする覚悟くらい持った方が安全ですよ。

 

そもそも、恋愛においても相手の変化を受け入れたり、尊重する気持ちは欠かせませんけどね。

 

相手の変化を受け入れず、自分の思いを一方的に押し付ける。

 

こういう関係がトラブルになるのです。

 

例えば、こういったことは、家庭でも、職場でも起こり得ます。

あなたの職場でも、同じように思いを押し付けられて、要求に応えることにストレスを感じたりしていませんか?

援助職の現場では、患者さんや利用者さんとの関係に悩まされている方も多いです。

その悩みは、バウンダリー(境界線)を知ることで、自分を変えるきっかけをつかむことができるかもしれませんよ。


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