悪質なクレーマーやモンスター患者対応の基本は、職場としてのバウンダリー(境界線)を強化すること!

 

こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

今日は、悪質なクレーマーやモンスター患者などへの効果的な対応を、バウンダリー(境界線)を切り口に説明してみます。

 

私は普段、相談機関でのクレーマー対応のコンサルティングなども行っているのですが、そこでよくする話です。

 

まず、ここでお話する悪質なクレーマー、モンスター患者というのは「自己中心的で理不尽な要求を通すために、スタッフの安全を奪う暴力的な行為(感情的になる、暴言暴力、電話を切らないなど)を執拗に行う人」としておきます。

 

つまり、境界線を守ることができない人です。

 

クレーマーは、人間関係の限界をわかっていないんですよね。

 

人間関係には、「できること」と「できないこと」があり、それをお互いに尊重し合うことで良好で安全な関係を築けるのです。

 

居酒屋にいけば必ず閉店時間があり、出せる料理と出せない料理がある。

 

内科では出せる薬と出せない薬がある。

 

学校の先生にはできることとできないことがある。

 

対等な人間関係というのは、相手の人間性や役割を尊重することです。

 

居酒屋、病院、学校など、組織としての役割や機能の限界も尊重する。

 

これが対等な関係なのです。

 

ところが、クレーマーはこうはいきません。

 

彼らが見る人間関係は、対等ではなく上下の関係です。

 

組織の役割や機能の限界、そしてそこで働くスタッフの人間性を尊重することはありません。

 

「私が上で、お宅は下」

 

「お宅は私の気持ちや欲求を最大限尊重して満たすべきである」

 

「私がこんなに困っているんだから、私を救うべきだ」

 

「私は客なんだから、私が負担に感じることを私にやらせるべきではないし、これだけ嫌だと言っているのだから対応するべきだ」

 

「それでも要求に応じてくれないのだから、私はあなたたちを傷つける。なぜなら私を傷つけたのはあなたたちだから」

 

「私に傷つけられることが嫌なら、私を怒らせるようなことをしなければいいのだ」

 

こうやって、客として、患者として、人としての自分の役割や責任を果たすことなく、相手に責任を押し付けてコントロールしようとします。

 

これが「客・患者などの立場をパワーとして」、「暴力というパワーで」相手の安全を奪いコントロールしようとする、「支配・被支配の関係です」

「死ね!」「ばか!」「どうしてできないの?なんで?だったら何のためにそちらはあるの?」「おれがこのまま苦しんでいてもいいっていうんだね?あなたはそれでいいんだね?」

 

こんなふうに怒りや不満をぶつけ、スタッフを困らせ、怖がらせて、最終的には自分の要求を通そうとする。

 

現場のスタッフにとってこれはたまりません。

 

プライベートで何でも言い合える関係であれば、「いい加減にしてよ!」と言って電話を切れるでしょうけど、職場で、相手が客や患者であればそうはいきません。

 

延々と説明し、怒鳴られ、消耗し、それでも納得してもらおうとして説明して、結局90分も電話でなじられ続けて、「今日は用があるから切るけど、明日中にきちんと回答しろよ!そっちから電話しろよ」と電話を切られる。

 

終わった後はグッタリどころではないでしょう。

 

恐怖、不安、悲しみ、怒りなど、様々な感情が大波小波となって、帰宅後も続き、眠れなかったり、何もやる気が起きなかったり、苦痛はいつまでも続きます。

 

そして、翌日も翌々日も、そのクレーマーに現場がかき乱される。

 

現場にとっては、まさに毎日続くテロ行為です。

 

こういうクレーマーに苦労している職場で、「どう対応すればいいですか?」と相談を受けるのですが、対応の前にまず考えてほしいことがあります。

 

それは、「どうしてクレーマーのクレーム行為が毎日のように成立しているのか?」ということです。

 

あなたがクレーマーになったつもりで考えてみてください。

 

どうして、毎日電話をするなどして、高圧的な言動を繰り返して、要求を通そうとしているのでしょうか。

 

ここにクレーマーへの基本的な対策のヒントがあります。

 

クレーマーが安全を脅かす行為を続ける。

 

それは、「相手を脅かし続けることで、要求が通るかもしれない。通すことができる」と思っているからです。

 

つまり、暴言暴力に怯え、疲弊して困り果てている現場のスタッフがいるからこそ、支配が続くのです。万能感を得られるのです。

 

逆に言えば、クレーマーがクレーマー行為をやめる時は、コントロール行為の限界を感じる時であることが多いのです。

 

「もうこれ以上やってもダメそうだな」

 

「引かないとまずそうだな」

 

こう思うと電話がかかってこなくなったり、お店に来なくなります。

 

では、そのために何をすればいいのか。

 

それは、組織としての境界線を明確にすることです。

 

ちょっとわかりづらいと思うので、詳しく説明します。

 

クレーマーがパワーを使ってスタッフの安全を奪い、コントロールしようとしている時

 

それは「クレーマーと現場のスタッフ」という2者関係なのです。  

現場のスタッフは職場の中でのパワーが小さいですよね。

 

「それならもう来なくていいですよ」「そこまで言うなら警察を呼びますよ」など、クレーマーに明確に職場としてのスタンスを伝える権限を持たず、ただただ訴えを聴き、謝り、サンドバックになるしかできないスタッフ。

 

このパワーの弱い現場のスタッフが対応することで、クレーマーの行為が長期間成立するのです。

 

だから、関係を変えるのです。

 

「クレーマーと現場のスタッフ」という関係を「クレーマーと組織」の関係に早めに切り替えるのです。

 

そのために必要なことは、現場の責任者、管理職など、組織のスタンスを決定する権限を持つ人が直接対応し、「できること」と「できないこと」を明確に伝える必要があります。

こうやって、境界線を分厚く、より強固にします。

 

それにより、「クレーマーと組織」の関係になります。

私の経験では、これをきちんとできると、クレーマーの引き際が早いです。

 

現場のスタッフのダメージも最小限に抑えられます。

 

実際に、いくつか事例を挙げますね。

 

患者が病院に電話してきて、応対する若い看護師に絡んで暴言を吐き続けているところ、看護師長が電話に変わり「責任者ですが」と伝えたら、その患者はすぐに電話を切ったそうです。

 

悩みの電話相談で傍若無人の振る舞いをして、現場の相談員を傷つける相談者に対し、その組織のトップが電話に出て「あなたの電話はすべて録音しておく」と伝えたら、それ以降電話は鳴らなかったそうです。

 

これはいわゆるクレーマー対応だけに限りません。

 

ある学校では、教師への暴言暴力や授業の妨害を繰り返す生徒に対し、「やめなさい」と学校レベルで対応をする方針から、警察を呼ぶ方針に切り替えて実行したところ、生徒の迷惑行為はすぐに収まったそうです。

 

組織としての限界を明確にすること。

 

とてもシンプルですが、これだけで解決することがあるのです。

 

最悪なのは、管理職や責任者が対応を現場に丸投げすることですね。

 

権限のない現場に丸投げしたって、できることには限界がありますから。

 

こういう現場で働いているスタッフが「私の対応が悪いばかりに怒らせてしまって」と自分を責めている姿を見るのは、本当に辛いです。

 

さらに、もっともっと最悪なのは、責任者がクレーマーに巻き込まれることですね。

 

責任者が電話に出て対応したら、クレーマーが大人しくなった。

 

これ、よくあります。

 

責任者には従順。現場のスタッフには狂暴。

 

責任者が出るだけでパワーですからね。

 

でも、責任者がそれに気づいていない。

 

「大したことないのに騒ぎすぎ」「私みたいにちゃんと話を聞いてあげれば治まるのに」「みんなすぐに慌てちゃうから」と、自分の対応が優れていたと本気で思って現場の問題にしてしまうことです。

 

こんなふうに責任者が役割を果たさないと、現場は激しく疲弊しますね。

 

あとは、例えばこのブログを読んだ現場のスタッフが、「ほら、管理職なんだからクレーマー対応してください!」「早く変わって対応してください!」と、今度は現場が責任者にクレーマーを丸投げする。これもよくないですよ。

 

現場のスタッフとしての役割を果たし、これから対応する管理職のことを気遣う。

 

管理職の対応が終わったら「大丈夫でしたか?」「助かりました」と敬意を持つ。

 

お互いがお互いの人間性を尊重して、役割を果たす関係。

 

これができないとこじれますよね。

 

結局、クレーマーの問題は、「組織の機能の問題」なんですよ。

 

組織が機能していないと、クレーマーやモンスターが野放しになり、現場が疲弊し、仲間割れが起きる。

 

こういう職場はたくさん見てきました。

 

クレーマーに関するブログ記事は他にもありますので、良かったら読んでみてください。

 

「プロなんだから現場でなんとかしろ!」と悪質なクレーマー対応を現場に丸投げする職場は、燃え尽き、退職、人間関係のトラブルが量産される。

 

「私が対応すればクレーマーが穏やかになる」というけど、それはあなたの力ではなく、役職の力であることに気づいてますか?

 

「クレームがあった事実」だけを問題にして、一方的に部下に反省することを促し、モチベーションを下げてしまっていませんか?

 


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