患者さんに胸ぐらをつかまれて暴言を吐かれた時は、「心の交通事故に遭った」と自分に言い聞かせて、きちんと具合悪くなりなさい!

 

こんにちは。

エイダーズ山崎正徳です。

今日は暴力被害についてお話しします。

ちょうど去年の終わりくらいから、職場での暴言暴力の被害で傷ついている人の相談を多く受けています。

中でも、患者さんから胸ぐらをつかまれて「殺すぞ!」と怒鳴られた看護師さんの話は、聴いていて胸が苦しくなりました。

私が話を聴いたのは、その被害があってから1ヶ月後くらいです。

その看護師さんの悩みは、「もう終わったことなのに、なんだか疲れがとれない。やる気が起きない。眠りの質も悪い」というものでした。

援助職の方であれば、患者さんから暴言を受けることって年に何回かはあるかもしれません。

でも、胸ぐらをつかまれて「殺すぞ!」と言われることって、なかなかないレベルの出来事ですよね。

こういう、日常的に経験しないような大きなストレスにさらされると、人はどうなるのか。

これを知識としてきちんと身につけて、正しく対処しておかないと、回復せず症状が長引くことになります。

今日は皆さんにその知識をつけてもらいたいと思います。

まず、日常的に経験しないような大きなストレスにさらされた時、私たちは、心、身体、行動に様々な反応が出ます。


以下、よく見られる反応を挙げてみます。

 

 

☆身体の反応

不眠、動悸、過呼吸、震え、血圧上昇、頭痛、吐き気、疲労感、緊張、食欲低下、腰痛、肩こり、など。

 

☆心の反応

怒り、悲しみ、恐怖、落ち込み、イライラ、不安、不信、自責、罪悪感、自信喪失、無気力、など。

 

☆行動の反応

電話に出ない、コミュニケーションの減少、面倒な仕事を後回しにする、仕事へののめりこみ、多弁、攻撃的、過食、酒量増加、浪費、ネット依存、など。

 

☆その他の反応

・フラッシュバック…出来事が何度も頭に蘇り、その度に苦痛を味わう。

・過敏・過剰な反応…音や刺激などに過剰に反応する。

・回避行動…事故や事件に関わる場所、人、話題などを避けようとする。

 

こういう反応が出ると、多くの人が「私の心が弱いからだ」「もっと強くならなきゃ」と思うのですが、それは違います。

このような反応は、「心が弱いから」ではなく、「心が健康だから」こそ、現れるのです。

どんなに健康な人でも、日常的に経験しないほどの強いストレスを受けたら、反応が出る。

この反応が、ASD(急性ストレス障害)です。

だから、そんなに慌てる必要はありません。

自分を責める必要もありません。

もし今、あなたが暴言や暴力の被害に遭ったり、仕事で大きなミスをして強いショックを受けて傷ついていたとしたら、あなたは「心の交通事故」に遭ったのです。

車に撥ねられて、怪我をしたばかりなのです。

まずはそう自覚する必要がありますよ。

ASDは、個人差がありますが、時間とともに回復していきます。

一般的には、1週間くらい経つと症状の軽減を実感し、2〜4週間くらいかけて消失していきます。

スムーズに回復していくためには、心の怪我が悪化しないような過ごし方を、すなわち、怪我人としての過ごし方を心がけなければいけません。

以下、過ごし方の注意点を挙げますね。

 

・「心のケガをした」「心の交通事故に遭った」と自分に言い聞かせ、できるだけ無理をせずリラックスして過ごす。

 

・2~3日または1~2週間くらいは、通常の6割くらいのパフォーマンスになることを受け入れる。

 

・一人で抱え込まず、同僚や家族と共有する。受けられる支援は断らずに受ける。

 

・感情は抑圧せず、認めて受け入れる。「怒ってはいけない」「これくらいで辛いと感じてはいけない」のように思考で処理せず、「強く怒っている」「とても傷ついた」と受け入れる。その上で、「安全」「楽」「嬉しい」といったポジティブな感情が味わえる時間を増やす。

 

・無理に忙しくしたり、仕事にのめりこんだりしない。

 

・お酒、ネット、食事、買い物などに依存しないように気をつける。

 

冒頭で紹介した看護師さんは、一人で抱え込みすぎたこと、あとは辛さや怒りなどの感情を「もう終わったこと」と抑圧して過ごしたことで、回復が遅れてしまったのです。

だから、いつまでも睡眠の質が悪かったり、体調が優れない日々が続くんですよね。

この看護師さんは、私からASDの説明をしたところ納得して、すぐに上司や同僚に話したそうです。

そしたらみんなが心配してくれて、それだけでだいぶ気持ちが楽になり、1週間くらいでだいぶ体調が良くなったと言っていました。

改善に向かい良かったですが、ショックのレベルが特に強かったり、負担のかかる過ごし方をしてしまうことで症状が長引き、いつまでも消失しないと大変です。

心的外傷後ストレス障害、いわゆるPTSDと診断され、それが重いトラウマになってしまうかもしれません。

トラウマを抱えると生活や業務に様々な支障が長期的に生じます。

だからこそ、以下のことを必ず抑えてください。

①普段経験しないような強いストレスを受けた時は、まずは「心の交通事故に遭った」と認めて受け入れる。
平気なふりをしない。カッコつけて強がらないこと。

②無理をせず、感情を抑圧せず、きちんと具合悪くなること。痛みを感じること。

③正しい対処を心がけること。

あなたの職場の同僚とも、ぜひ共有してくださいね。
 


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