「話が長い利用者さんに嫌な思いをさせずに話を終える方法はありませんか?」(後編)

 

こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

前回のブログ「話が長い利用者さんに嫌な思いをさせずに話を終える方法はありませんか?(前編)」の続きです。

 

まずは前回のおさらいを簡単に。

 

話が長く、訪問時間が長くなったり、なかなか帰れない利用者さんがいます。
そういう方に対して、嫌な思いをさせずに、話を終わらせる具体的な方法があれば、勉強してみたいと思います。
(相手の感情を引き受けている時点で、バウンダリーが引けてないことになるのでしょうか?)。

 

こんな悩みに対して、私は自分がカウンセリングを時間内に終えるために心がけているやり方を紹介しました。

 

①面接の際に時間はきちんと確認する。(毎回ではありません)

 

②5~10分くらい前になったらまとめに入る。

 

③まだまだ相手が話したそうなら、「まだお話を聴きたいですけど、残念ですが今日は時間になってしまいました。また次に聴かせてくださいね」と伝える。事務的にではなく、きちんと相手の気持ちを尊重して伝える。まだまだ話したい相手の気持ちに共感しながら、伝えることは伝えて切り上げる。

 

この③がうまくできない人が、「話を終えられない」という悩みを抱えやすくなります。

 

そんな悩みを、前回は「援助職に生じる感情」を切り口に説明しましたが、今日は「バウンダリー(境界線)」の観点から話をします。

 

※ブログ執筆者  AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは  こちら 


相手が「援助職側の限界」を尊重してくれていれば、良好な関係が築ける。

 

③に書いてある通り、時間を伝えて話を終える時に、私は十分に相手の気持ちを尊重しながら対応します。

 

これで、ほぼ全員が「はい、また次回お願いします」みたいな感じで話を終えてくれます。

 

まだまだ話したりない人もいるでしょう。

 

いまいちすっきりせず、不安が残っている人もいるでしょう。

 

不満を感じる人もゼロではないでしょう。

 

でも、トラブルにはなりません。

 

それは、私に相談をしてくれているクライエントの皆さまが、私のことを尊重してくれているからだと思います。

 

私には「できること」と「できないこと」があること、カウンセリングには時間があること、限界があること

 

これを理解しくれているので、時間になってしまったことで生じる不安や不満を、私の責任ではなく、自分自身の責任として扱ってくれるのです。

 

自分自身の責任として扱うというのは、「カウンセリングが終わると、私は不安になっちゃうことがあるんですよ」と自分の課題として扱うことです。

 

決して、「山崎さんがいつも時間で話を終えるから、山崎さんのせいで不安になるんですよ!」と私の責任にはしないわけです。

 

これが、お互いに境界線が保てている理想的な人間関係だと思います。

 

お互いが、お互いの役割を尊重する。

 

役割に伴う限界もきちんと尊重して付き合う。

 

これができると、とても良い関係です。


境界線を引くことが苦手な人は、相手の感情の責任を引き受ける。

 

でも、こちらの限界を尊重してもらえない関係もありますよね。

 

いくらこちらが相手の気持ちを尊重して話を切り上げようとしても、こちらの限界を尊重してもらえない。

 

「まだ話したいのに!」「冷たいのね!」「結局仕事でやってるんですよね?」みたいに、利用者さんの不満や不安を、援助職側の責任にしてしまうのです。

 

こちらが十分に相手を尊重している一方で、こちらのことは尊重してもらえない。

 

これは、相手が「境界線を越えてきた」と捉えましょう。(ただし、あなたが事務的に時間を伝えるのではなく、相手のことを尊重して時間を伝えていることが前提ですよ)

 

だから、利用者さんに生じた不安や不満をぶつけられても、慌てる必要はありません。

 

あなたにできることには限界があります。

 

十分に相手を尊重して対応したのであれば、利用者さんの不満をあなたが背負う必要はないのです。

 

できることとしては、その不満に共感してあげることくらいでしょうか。

 

共感は、同調ではありません。

 

「そうそう、あなたの言うことが正しい。私が話を切り上げるからよくない」が同調。

 

「まだまだ話したいですよね、辛く感じちゃいますよね」が共感。

 

気持ちに共感するけど、そこで話をまた聴き続ける必要はないですよ。

 

「じゃあ、また来週きますね」と速やかに切り上げましょう。

 

それで相手が不満に思っても、もうそれは仕方がないことです。

 

援助職側が境界線を引くことが苦手だと、相手の感情の責任を引き受けてしまうので、相手に巻き込まれ、話がどんどん長くなります。

 

「相手の気の済むまで話を聴く」

 

こうなりますよね。

 

終わるわけありません。

 

そんなことを毎日やっていたら疲れ果ててしまいます。

 

※関連記事

「共感」と「同調」の違いがわからないと、いくら頑張って話を聴いても相手を怒らせるだけである。 

まとめると、

 

いくらこちらが相手の気持ちを尊重して話を終えても、わかってくれない人は少なからずいる。

 

・だから、「嫌な思いをさせずに対応する方法」には限界があり、どれだけうまくやっても嫌な思いをする人はいる。

 

・でも、その「嫌な思い」の責任をこちらが引き受ける必要はない。

 

・相手の感情に振り回されず、時間を伝えて話を終える。

 

・それが、「バウンダリー(境界線)」が保てた関係である。

 

ということです。

 

これができない人は、やはり「不安」なんだと思います。

 

いくら頭で境界線を理解しても、不安が強いと境界線を引けません。

 

不安の問題が大きい方は、前回のブログを読んで頂いたうえで、カウンセリングを受けて頂くことをお勧めします。

 

境界線をきちんと学びたい方は、セミナーにお申込みください。