こんにちは。
エイダーズ山崎正徳です。
「燃えつきが起きやすい職場ってどういう特徴がありますか?」
先日こんな質問を受けました。
このブログを読んでいる方はわかると思いますが、
ひとつは、「利用者や患者からの暴力への限界設定を設けない職場」
そして2つ目は、「ノーマルな感情を共有できない職場」です。
他にも挙げればキリはありませんが、主な柱はこの2つだと思います。
この2つ目の「ノーマルな感情を共有できない職場」にならないように、管理職が取り組めることは何か?
今日はこの話をしたいと思います。
自分の気持ちがわからない人は、人の気持ちもわからない。

燃え尽きが起きやすい職場は、「管理職が自分の感情を扱えない、語れない」という特徴があります。
例えば、病院の看護師長が「患者さんのことを嫌いになってはいけません!」「悪く思ってはいけません!」とスタッフに強く指導する。
そして、当然ながらその師長も辛いことがあっても「辛い」と言わないし、患者さんに腹が立つことがあっても不満を口にしない。
「辛い」「嫌だな」「腹が立つな」
こういう感情を感じないようにするなんて、まず無理です。
そんなスーパーマンはいません。
人間であれば、理不尽なことを言われれば多かれ少なかれ辛くなるし、腹も立ちます。
でも、この師長は「嫌いになってはいけない」「悪く思ってはいけない」と、自分の感情に規制をかけているわけですから、常に感情を抑圧していることになります。
本当はネガティブな感情を抱いていても、なかったことにしているのです。
これが習慣になると、本当に自分の感情がわからなくなります。
そして、自分の感情がわからなくなるということは、人の気持ちまでわからなくなってしまいます。
つまり、辛い思いをしている人の気持ちになり、寄り添えなくなる。
だから、患者さんに暴言を受けて傷ついている新人がいても、気持ちに寄り添って声をかけてあげることが難しいのです。
新人の頃の自分を思い出し、その時に暴言を吐かれたらどんなに傷つくだろうか、どんな言葉をかけてもらえたら助かるだろうか、というようなイメージができなくなります。
結果、「そんなに辛いなら辞めたら?」「あなたが患者さんに暴言を吐かせるようなことをしたんです。反省しなさい」みたいに、心ない言葉しかかけられないのです。
こういう人がトップにいると、下はかなり苦しくなります。
ちょっとした患者さんへの不満や辛かったこと、悲しかったことなどを共有することが、その職場では「悪」なのです。
ネガティブな感情は出さず、「看護師としてこうあるべき」という師長の理想に沿う行動をとることが求められる。
スタッフは強い緊張感を覚えながら仕事をするでしょうし、日々生じるネガティブな感情を処理できないわけですから、燃え尽きやすくなりますよね。
「ノーマルな感情」を適切に語れる職場づくりの大切さ

逆に、この師長がちゃんと自分の感情を扱えればどうなるでしょうか?
辛いことがあった時に、「今日は辛かったなー」と言う。
傷ついた時に、「悲しかった」と言う。
こうやって管理職が感情を適切に語れる職場は、スタッフの精神的な負担は確実に軽くなります。
あくまでも「感情を適切に語る」のであって、感情のダダ洩れではダメですよ。
「辛いよー!」「悲しいよー!」と大騒ぎするのではなく、「私は辛かった」「ああいうことを言われると腹が立つよね」と適切に語る。
これが大切です。
そうすると、スタッフも「辛いことは辛いと言ってもいい」「不満なことは不満と感じてもいい」と思えます。
特に新人は、「あの師長でさえ嫌になることがあるんだから、私だって辛いと思うのは普通なんだな」と自分の気持ちを受け入れやすくなるでしょう。
患者さんの死に対する感情も同様です。
ベテランの人がちゃんと「辛いね」「悲しい」「おれけっこうショック」と語れる職場は、心の健康を保ちやすくなります。
逆に、「こういうのはよくあること」「いちいち悲しんでいたらこの仕事は務まらない」なんていう体育会系の職場は、辛さや悲しさを癒す機会を失います。
まとめると、燃え尽きを防ぐためにも管理職の方ができることは
自分の感情を正しく把握すること
そして、それを自分の言葉できちんと語ること
これが大切なのです。
私を研修講師で呼ばなくても、こういうところから一つずつ取り組んで頂ければ、働きやすい職場は作れると思います。
ぜひ、できるところから取り組んでみましょう。
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