こんにちは。
エイダーズ山崎正徳です。
今日はメンタルヘルス問題が疑われる部下の問題で悩む管理職や経営者の方に記事を書きます。
普段、部下を持つ管理職の方から、メンタルヘルス問題が疑われる職員への対応について相談を受けることがあります。
「躁うつ病じゃないかと思う職員がいるんですよ。急にハイテンションになったり、落ち込んでみたり」
「今はテンションが高い時期なんですよね。やたらとみんなに話しかけて。躁の時はけっこうミスが増えるんですよね。そそっかしいというか。」
「逆にうつになると利用者さんに気を遣わせるくらいに無口になって。報告を怠ったり、遅刻が増えたり」
「対応の仕方に困ってるんですよね。病院にでも行ってもらえると変わるものですかね?そういうふうに言ってみてもいいですかね?」
メンタルヘルス問題を抱える部下への対応は、本当に難しいと思います。
躁うつ病などのメンタルヘルス問題があるならちゃんと治療してほしい
一方で、人が足りないから休まれたり、辞められたりしたら本当に困る。
ミスを減らしてほしいから注意したい
でも、病気の人にそんなこと言って悪くならないか?これ以上人が少なくなったら現場が回らないし…
管理職や経営者と言えど、常に人手不足の現場で多くのケースを持ち、忙しく働く方にとっては、頭を抱える悩みだと思います。
こういう時、どういう風に声をかけるべきか
本当に難しいですよね。
こういう状況で「思いきって本人に声をかけてみた」という管理職の方はけっこういます。
でも
せっかくがんばって声をかけたと思うのですが、これがなかなか報われないんです。
本当に撃沈率が高い。
「最近テンションが高いように見えるんだけど、どう?」
「元気ないよね。もしかしてうつ病とかじゃないかなと思って心配しているんだけどさ」
こういう風に質問をすると、大体返ってくる答えは決まっています。
「大丈夫です」「そんなことありません」
これで、大体やりとりが終わってしまいます。
撃沈です。
では、撃沈しないためにどうやって声をかければいいのか。
「絶対に撃沈だけはしないやり方」を教えます。
キーワードは、「疾病性」と「事例性」です。
「疾病性」とは、「精神的な病気か否か」「どんな病気か」など、文字通り病気を切り口に扱うやり方です。
「元気ないよね。うつ病とかじゃないかなと思って心配なんだけど」
「眠れていないなら、一度精神科にでも行ってみたらどう?」
こんなふうに病気を切り口に話をすると、すかさず職員からシャッターを降ろされることが多いですよ。
よほど信頼関係が築けていれば別ですが、多くの場合、上司にメンタルヘルス問題を疑われたらすぐに否定しますよね。
そうなると、なかなかそれ以上話が進みません。
撃沈です。
こういう状況を打開するには、私は「事例性」を切り口にすることをお勧めしています。
事例性とは、「否定しようのない客観的事実」です。
「誰の目から見ても明らかな」客観的事実。
声のかけ方がだいぶ変わります。
「最近ミスが続いてるよね。この2週間で3回で、1回はクレームになってる。〇〇さんらしくないから気がかりなんだけどさ」
「前から心配に思ってたんだけどさ、2カ月に一回くらい遅刻が増えるよね。それで、そういう時は報告漏れも重なるよね。自分で気づいてるかな?」
こんなふうに、目に見える事実を本人に示すのです。
その上で、きちんと改善を促しましょう。
ミスを減らしてほしい、報告をちゃんとしてほしい、遅刻は困るからやめてほしい、などなど
そして、一ヶ月後に改めてその後の状況を評価する面談をすることを伝えてください。
「職場としても今の状況が続くのは困るから、改善に励んでください。来月また状況を確認する面談をします。困っていることがあれば協力したいので、相談してくださいね」
まずはこれだけで十分です。
焦らないでください。
病気を扱わなくても大丈夫。
まず、「客観的事実」を共有して、改善を促すのです。
そして、一か月後の面談で「客観的事実」が改善されているかどうかを扱いましょう。
次の面談は別に一か月でなくてもいいです。
2週間後でも、2カ月後でもいいので、本人の問題が確認しやすい期間と緊急性に応じて判断してください。
観察期間を設けても改善が見られないなら、そこが切り込むチャンスです。
「あくまでも事例性を切り口に」改善の手段として医療やカウンセリングにつなげていきましょう。
ここで客観的事実と合わせて、印象も伝えてみるのです。
「ミスが減ってないから、心配なんだよね。あと、私の印象を伝えるけどさ、ちょっとテンションが高い日と、ふさぎ込んでいる日との落差が激しい気がするんだよね」
「利用者さんからも時々そういう声が上がっているし、心配なんだよね。抵抗あるかもしれないけどさ、一度心療内科に行って先生に相談してみたら?」
こんなふうに、事例性の改善の手段として医療やカウンセリングを提案します。
でも
ここで素直に「わかりました!」という人はあまりいません。
心療内科やカウンセリングの敷居は、相当高いのです。
ここでも、焦らないでください。
受診やカウンセリングを拒否したら、そこで約束をしましょう。
「じゃあ、今度は3週間様子を見ます。そこで改善してください。ただし、同じように遅刻が続いたり、利用者さんからクレームがあればこちらの提案に従ってもらいます」
「その時は必ず心療内科に行ってください。業務命令なので、業務時間内で大丈夫です」
こんな流れで、「事例性の改善」に向けて導線を作っていきます。
事例性を切り口にすれば、職員に一方的にシャッターを降ろされることはなくなりますよ。
まとめます。
①職員の問題を「事例性」を切り口に整理する。目に見える客観的事実を扱う。
②本人に伝えて改善を促す。次の面談の約束をする。
③経過期間中に改善されていなければ、業務命令として心療内科の受診やカウンセリングを勧める。
④本人が拒否したら、改めて改善を促し、改善されない場合は指示に従ってもらう約束をする。
理解できましたか?
ただ、このやり方だと時間がかかるので、②の段階で心療内科やカウンセリングの受診を勧め、④まで伝えておくのもありだと思います。
一回目で事例性で問題提起して心療内科やカウンセリングを勧めて、拒んだら次回までに改善してね、してなければ受診だよ、と約束。
二回目で確認して改善が見られなければ受診させる。
緊急性、そして職員の方の関係に応じて柔軟に対応してください。
疾病性で対応するときと比べて、明らかにやりとりが深まりますよ。
さて
ここからが肝心です。
このように事例性を切り口にうまく対応できたとしても、心療内科、精神科、カウンセリングってどこに行けばいいのか、どこを勧めたらいいのかわからないですよね?
また、せっかく心療内科に行ったとしても、主治医の見解まで聞きとるのは難しいし、本人が「医者から大丈夫だって言われました」と言ったらそこで手の打ちようがなくなってしまいます。
メンタルヘルス問題が疑われる職員の問題を改善するには、色々と難関が多いのです。
そこでお勧めしたいのが、職場に私を呼んで頂くことです。
「うちに来てくれる専門のカウンセラーがいるから、ちょっとミスを減らす方法について相談してみてくれないかな?」
「いきなり心療内科は抵抗あるでしょ?職場としてもカウンセラーの見解を聴いてから判断するから、とにかく一度会ってみてよ」
こんなふうに勧めて頂くとスムーズだと思います。
私が関わることで、次のようなメリットを提供できます。
・(本人の同意を得た上で)職員の方の問題を評価して共有します。
病気なのかどうか、医療が必要なレベルか、性格や能力の特徴がどう影響しているか、カウンセリングで改善が期待できるレベル、など。
・職場にできる必要な対応をアドバイスします。
見通し、方針、声のかけ方、伝え方、職場の環境改善など。
・必要に応じて、医療機関を紹介します。
・職員に対して直接改善のためのアドバイスができ、燃え尽きや離職を防止できるだけなく、パフォーマンスの改善が期待できます。
私を読んで頂く最大のメリットは「連携」と「専門家への繋ぎやすさ」です。
職場にカウンセラーを呼ぶ、となれば本人も「そこまで言うなら一度は会いますよ」となりやすい。
職員はカウンセラーに相談する機会を得ることができる。
そして、会っただけで終わらないようにカウンセラーが職員の問題を評価して職場と共有する。
職員にとっても、職場にとってもメリットのある対応を私が提案する。
こんな形で、これまでも色々な事業所様のお手伝いをさせて頂いております。
何かありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
精一杯、お手伝いをさせて頂きます。
★管理職の方へのカウンセリングも行っています★
部下への対応方法、職場の課題の整理、自身のストレスケアなど、お気軽にご相談ください。
※法人としてのご相談、経営者、経営層からのご相談は、法人・団体向けサービスよりお申込み・お問い合わせください。
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