宇都宮障害者施設「ビ・ブライト」の傷害事件。知的障害者施設では虐待・暴力が発生するシステムが発動しやすい。

こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

<障害者施設傷害事件、2人で代わる代わる暴行 女は柔道大会優勝も>

宇都宮市の障害者支援施設で、知的障害のある男性が大けがをした事件で、逮捕された職員の女らが、男性が搬送される前日に代わる代わる暴行を加えていたことが分かりました。

 この事件は、宇都宮市の障害者支援施設「ビ・ブライト」の職員・松本亜希子容疑者(25)ら2人が今年4月、入所していた知的障害のある男性(28)に足で蹴るなどの暴行を加え重傷を負わせたとして逮捕されたものです。

 

 その後の警察への取材で、2人は男性が搬送される前日に、代わる代わる暴行を加えていたことが分かりました。男性は腰の骨が折れていたほか、内臓から1リットル以上の出血があったということです。

 

 松本容疑者は関東の高校が参加する柔道大会で優勝経験があったといいます。

 

 「利用者さんがパニックになったときは基本的には男性職員が対応するんですけど、そういうときにも(松本容疑者に)一緒に入ってもらって状態を収めることもやっていました」(障害者支援施設「ビ・ブライト」 保坂隆太施設長)

 

 施設を運営する法人の理事長は、「逮捕者が出たことについては深くお詫び申し上げます」などとコメントしています。

 

知的障害者の施設でのこのような事件・事故は、いつどこで起きてもおかしくないと思うんですよね。

 

今日は知的障害者施設(特に入所の施設)では「虐待が起きやすいシステムが発動しやすい」という話をします。

 

ただ、今日の話はあくまでも一般的な話であり、報道されている施設で被害にあった入所者の方のことを言っているわけではありませんので、誤解なきようお願いいたします。

 

まず、知的障害者施設で働く方とお話をすると、よく聴く話が暴力の被害に遭いやすいということです。

 

前に私のセミナーに何度も参加してくれていた知的障害者施設の職員の方から、こんな話を聴きました。

 

職員が暴力を受けるのが当たり前

 

目を突かれる、首を絞められる、蹴られる、噛まれる、パンチされる、物を投げられる、物を壊す

 

もちろん全員ではなく一部の利用者さんなんでしょうけど、それがあまりにも日常的過ぎて、疑問に持つこともほとんどない。

 

私は、援助職の現場での「利用者さんからの暴力」については、職場としての限界設定を設けるようにセミナーやブログで伝えています。

 

まだ読んでいなければぜひ読んでください。

従業員の燃え尽き防止のセミナーもいいけど、その前のきちんとサービスの限界設定をしませんか?

対人援助職の職場は、サービスの限界設定がないから簡単に燃え尽きる

 

ただ、この限界設定が本当に難しく、利用者さんから暴力を受けることが最も仕事の一部になりやすい職場

 

それが知的障がい者の施設だと言ってもいいのではないかなと思います。

 

これも働ている方から聴いた話です。

 

暴言暴力がひどい利用者さんがいても、職員の安全確保のためにケースの処遇を具体的に検討する会議なんてほぼない。

 

話し合われるとしたら、立ち話で、どう押さえつけるかとか、今度は力の強い誰それを当てがおうとかそんなレベル。

 

暴力で受けた被害の武勇伝を自慢げに語るスタッフもいる。

 

「怖いです」なんて新人が言えば「甘いよ」「これに耐えられないとやっていけないよ」なんて言われる。

 

「暴力があって当然」という認識に疑問を挟む余地もなく、仕事の一部になる。労働になる。

 

これがとても危険なんですよね。

 

ただでさえ、入所施設では援助職と利用者が毎日毎日顔を合わせ、家族のような距離で生活します。

 

お互いが相手のことをあだ名で呼んだり、ため口になったり。

 

新人の職員にベテランの利用者さんが「ここのことはおれが教えてやるよ!」なんてまるで上司のように指導したり

 

ひどいところだと、利用者さんが電話に出て取次したり

 

とにかく、援助職と利用者というバウンダリー(境界線)が簡単に崩壊するのです。

 

支援者なのか、家族なのか友達なのか、とてもあいまいになりやすい。

 

その中で暴力を受けること、暴言を吐かれることが仕事の一部になる。

 

そうすると、「利用者さんからの暴力」というよりも、「友達や家族からの暴力」に近い感覚で受け止めやすくなりますよね。

 

暴言暴力を行う利用者さんについて、処遇や対応を「援助職として」意見交換をするというよりも、

 

「次はこうしてやろうぜ」「ガツンとキレてやらないとだめだ」「最近あいつ調子こいてないか?」みたいに、「友達のような関係で」反撃の仕方を話し合う。

 

暴力に対して暴力で返す関係。

 

こうなりやすい。

 

そして、「いつまでも調子に乗るなよ!」と反撃の時が訪れる。

 

事件になる。

 

こういうリスクはどの職場にも発生しやすいのではないでしょうか。

 

(繰り返しますが、あくまでも一般的な話で、ビブライトで被害に遭った入所者が暴力的だったなんて一切言ってません!)

 

虐待をした加害者の責任は重大です。

 

でも、「深刻な虐待がいつ発生してもおかしくない職場のシステム」が出来上がっているんです、こういう職場は。

 

だから、言うまでもなく職場が変わらないといけないのです。

「虐待は絶対にダメだ!してはいけない!みんな気をつけましょう!」と意識を徹底することはもちろん大事です。

 

勉強会を開いて「こういうのが虐待になりますよ!」ということを学ぶのも良いでしょう。

 

でもね

 

虐待が発生しやすい職場のシステムの構造をきちんと理解して、その中に自分たちが放り込まれていることを正しく学ぶべきですよ。

 

虐待が良くないことなんて、誰だってわかっているでしょ?

 

それでもやってしまうのはなぜですか?

 

家族的な距離感になりやすい環境が整っているのです。

 

暴力が根付きやすい環境が整っているのです。

 

その環境をできるところから変えていかないと、いくら人を変えたってリスクは減りませんよ。

 

暴力や虐待に関するブログは他にも書いていますので、読んで職場の環境を振り返ってみてください。

 

虐待に関するブログ記事 こちら

利用者からの暴言暴力に関するブログ記事 こちら 


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