バウンダリー(境界線)基礎講座8日目。基礎講座は今日で最後になります。
※ぜひ1日目から読んでみてください。
1日目 「バウンダリーとは」
2日目 「安全な人間関係の距離感を学ぶ」
3日目 「自分の感情は自分の責任!」
4日目 「支配・被支配の関係」
5日目 「共依存の関係」
6日目 「無関心の関係」
7日目 「ダブルバインド」
※ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら

バウンダリー(境界線)は柔軟に!
ここまで7回にわたって説明してきましたが、バウンダリーの話をすると急に人間関係の距離感を意識しすぎて、「逆に仕事がしづらくなった」なんて感じる人はいると思います。
普段とても親しく話していた人に急に敬語を使うとか、確かにやりづらくなりますよね。
私が言いたいのは、「バウンダリーに無自覚であることが危険である」ということです。
職場ですごく親しい間柄で、個人的なことよくも知っているとして
「自分たちは距離感が近いな」「職場の同僚というよりも友達のような関係だな」とちゃんと理解して気をつけて仕事をする。
友達のような関係で仕事をするメリットとデメリット
これをきちんと理解して、お互いに気をつけて仕事をする。
こういう意識が大事なのです。
何も無理に距離を適切に保てというのではない。
バウンダリーは柔軟性があってOK。
とっても近い距離感でやるならそれでもいい。でもリスクも把握して付き合う。
この意識がないと、人間関係のトラブルが増える可能性が高まります。

このブログを特に読んでくれている多くの対人援助職の方に説明すると、利用者さんとの関係もそうです。
作業所のような少人数の施設だと、スタッフと利用者さんはどうしても家族のような関係になります。
あだ名で呼び合ったり、ため口になったり
それ自体がいけないわけではないし、家族的な距離感の方がうまくいく場合がたくさんあるはずです。
大切なのは、「距離の近さのリスクを把握して付き合っているかいないか」ということ。
これに尽きます。
スタッフ同士で「うちは家族的な距離感でやらざるを得ないから、お互いに声をかけあって注意しましょう」なんていう意識の共有が大事なのです。
そういうわけで、最後にバウンダリーのチェックリストを紹介しますので、時々距離感を確認してみてください。
バウンダリー(境界線)チェックリスト

<上司・同僚との距離感チェック>
距離が近くなる考え方
□私の考えが絶対に正しく、職場でも認められるべきである
□プロとして些細なミスは許されない
□上司は私の責任をとってくれる
□上司なのだから完ぺきであるべきだ
□私は上司が考える通りに動く
適切な距離感をつくりやすい考え方
□考え方は人それぞれ。意見が合わないことはむしろ当たり前
□誰だって完ぺきではないし、お互い様
□上司も私も同じ労働者
□上司は職務上の役割に基づいて私に関わる
□上司の方針に基づき、私も考える
<利用者・患者との距離感チェック>
距離が近くなる考え方
□ 私があなたを何とかする
□ 私こそが最もあなたを理解している
□ 私はあなたを正しい方向に導くことができる
□ 私の期待する通りに自立・回復してほしい
適切な距離感をつくりやすい考え方
□ 私は専門性とサービスの契約に基づいて、あなたに援助を行う
□ 私はあなたと問題を分かち合い、一緒に取り組む
□ 私とあなたは対等である
□ 私はあなたが自分の力で目的を果たせるよう、手伝う
今日で8日間にわたってお伝えしたバウンダリー(境界線)の基礎講座は最後になります。
読んで頂きありがとうございました。
ここまで読んで、自分自身の人間関係の距離感に課題がある、と感じた方は、ぜひカウンセリングでご自分の課題をじっくりと整理してみることをお勧めします。
以下のページでは、共依存についてのブログ記事を書いています。
また、まだまだバウンダリーを学びたい方は、これまで書いたバウンダリーのブログ記事をお悩み別にまとめていますので、以下をクリックして読んでみてください。
【入門コース】対人援助職のためのバウンダリーセミナー