バウンダリー(境界線)基礎講座4日目です。
※ぜひ1日目から読んでみてください。
1日目 「バウンダリーとは」
2日目 「安全な人間関係の距離感を学ぶ」
3日目 「自分の感情は自分の責任!」
※ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら

力のあるものが弱いものをコントロールする「支配・被支配の関係」
今回から、バウンダリーが保てないときに起きる人間関係について説明します。
今日は「支配・被支配の関係」です。
あなたも経験があると思いますが、すぐに怒る上司や先輩などに対して、「怒られたくない」という思いで顔色を伺いながら行動したことはありませんか?
そういう時って、あなた自身がどうしたいかよりも、「上司がどうしてほしいか」が優先されますよね?
それをしないとあなたの安全が脅かされたり、明らかに不利益を被ることがわかっているからこそ、自分よりも相手の欲求を優先せざるを得ないわけです。
このように、「強いもの」が「弱いもの」を何かしらのパワーで支配する関係、コントロールしてしまう関係が「支配・被支配の関係」なのです。

「支配」を受けると、無力感が募り主体性が奪われる。
実は、私がバウンダリーの研修を始めたそもそのきっかけは、企業のパワハラ研修でした。
その研修で私が強調したかったのは、「支配・被支配の関係を上司部下が築いていたら人材が育ちませんよ」いうことです。
「部下に恐怖や緊張感を与えて失敗させないようにする」というスタンスの役職者が自然と評価をする部下は、「自分の思った通りに動いてくれる部下」になりやすいのかなという印象を持ちます。
だから、部下の仕事は、上司を怒らせないこと、上司の要求に応えること、一日を安全に過ごすことが中心になります。
これを続けていると、どうしても人間は自分で考えることをやめてしまいます。
「上司が言うから」「だってこれをしないと上司が怒るから」「うちではこれが決まりだから」
頭の中がこんな感じになります。
つまり、主体性がどんどん失われていくのです。
「うちの若手は指示待ちばかりでどうしようもない」と感じる管理職の方は、関係性を振り返ってみることも大切です。
もしかしたら、無自覚に部下を支配してしまっているのかもしれません。
教育は、部下を自立させるためにあると思うのですが、コントロールして主体性を奪ってしまっては意味がありません。
パワハラは安全を奪う行為だけでなく、自立する力を奪うのです。
支配を受け続けた人は、無力感、怒り、悲しみ、不全感にさいなまれます。
この支配・被支配の関係は、上司と部下の間にとどまらず、部下から上司、親から子、子から親、先輩から後輩、友人関係など、あらゆる人間関係で起きます。
今回は上司・部下の関係で説明しましたが、ぜひ自分自身のあらゆる人間関係を振り返ってみてください。
誰にでも、支配を受ける経験もあれば、無自覚に相手をコントロールしてしまう経験もあるはずです。
ここまで、支配・被支配について基本的な話をさせていただきました。
次回は「共依存の関係」について説明します。
☆バウンダリー(境界線)基礎講座
1日目 「バウンダリーとは」
2日目 「安全な人間関係の距離感を学ぶ」
3日目 「自分の感情は自分の責任!」
4日目 「支配・被支配の関係」
5日目 「共依存の関係」
6日目 「無関心の関係」
7日目 「ダブルバインド」
8日目 「人間関係の距離感チェック」