
※ブログ執筆者 AIDERS 代表 山﨑正徳のプロフィールは こちら
相手と自分の違いを受け入れられないから、余計に怒りが強くなる。
2日目の話の続きです。
修学旅行の行き先で意見が分かれた太郎君と明君。
じゃんけんをした結果、太郎君が勝ち、行き先が金閣寺に決まりました。
清水寺に行きたかった明君は、太郎君にとても腹を立てました。
「あいつのせいで楽しみにしていた修学旅行が台無しだ!」
明君は、怒り、落ち込み、とても悲しい気持ちになっています。
さて、この明君の怒りや悲しみなどの感情は、誰の責任でしょうか?
太郎君でしょうか?それとも明君?
正解は…
「明君の責任」です!
わかりますか?
なぜなら、自分と他人の違いがわかっていれば、金閣寺に行きたい太郎君の気持ちを尊重できるからです。

自分の怒りは、自分の責任で「安全に」処理をする。
つまり、自分の思った通りにならない可能性は初めからあるのです。
それを受け入れていないから、余計に腹が立つし落ち込むのです。
だからそこで生じた怒りや落ち込みの責任は、原則として自分にあります。
「怒りを感じてはいけない」と言っているわけではないのです。
怒ってもいいのです。
でも、その怒りは、原則は自分が責任を持って処理しないといけない。
家に帰って、「清水寺に行けないんだよ!ムカつくー!」と、親に愚痴を聴いてもらう。
そこで親が「今度連れて行ってあげるから、楽しくいってきなよ」なんて言ってくれて、気持ちの整理ができる。
こうやって安全に感情を処理できればいいですよね。
太郎君に直接「あー!残念!恨んでやるー!」なんて冗談ぽく言って、太郎君が「ごめんねー、その代わり京都で奢るから!」とか
そんなやりとりをしてちょっと楽になることもありますよね。
これが、安全な人間関係なのです。
バウンダリーを越える人は、自分の感情を相手の責任にする。
一方、バウンダリーが崩壊した人間関係では、自分の感情の責任をそのまま相手に負わせます。
「おれをこんなに怒らせたのはおまえだ」
「シカトされるのが嫌なら、初めからおれを怒らせるようなことをするなよな」
こうやって、相手に自分の怒りをそのまま投げてしまいます。
そうする権利が自分にはあると本気で思っているのです。
こういう人、職場にいますよね?
だからトラブルが増え、人を傷つけるのです。
自分自身の人間関係のとり方がトラブル、そしてストレスを増やしていることに気づかないと、いつまでも何も変わりませんよ。
相手を変えようとするのではなく、自分が変わる必要があります。
「私を怒らせたのはあなた」なのではなく、あなたが勝手に怒っているだけなんですから。
自分の感情は自分の責任。自分の怒りは自分の責任なのです。
バウンダリーが引けない人は、相手の感情の責任を負う。

感情をぶつけられる側もこれをわかっていれば、怒りをぶつけてくる相手に対して、少し距離を置くことはできるんですよ。
怒る明君に対して、「行きたいところに行けないのは仕方ないよね。僕だったらそこまで怒らないのにな。これは明君の問題だからあんまり気にしないようにしよう」と太郎君は考える。
こう思えれば、太郎君は明君にそこまで強く巻き込まれません。
でも、バウンダリーを引くのが苦手な人は、相手の感情の責任を自分で背負ってしまいます。
明君が「おれを怒らせたのはあなた」と思っているのと同じで、「あなたを怒らせたのは私」と考えやすいのです。
「僕が金閣寺に行きたいなんて言い出したからこうなった」と考え、明君の怒りの原因は自分にあると思います。
こういう人は、暴力やパワハラなどの被害に遭いやすかったり、身勝手な人に振り回されて疲弊しやすくなります。
バウンダリーを越える明君、そしてバウンダリーが引けない太郎君。
この二人の問題は理解できますか?
まとめると、バウンダリー(境界線)が適切に保てていれば
①相手との関係において生じた自分の感情を、自分の責任で扱うことができる。
②自分との関係において生じた相手の感情の責任を背負わず、きちんと距離を置くことができる。
このような安全な人間関係が築けるのです。
理解できますか?
ちなみに、②の話をすると、「じゃあ僕は相手に言いたいことを言おう!それで相手が怒っても自分の責任ではないから!」と平気で一方的な自己主張をする人がいます。
それは大きな誤解です!
バウンダリーは、相手の人間性や気持ちを尊重できることが大前提です。
相手の気持ちを尊重することなく、相手を傷つける。
これこそバウンダリーを越える行為です。
きちんと尊重した人間関係をとった上での②なのです。
相手の気持ちを配慮して言葉を選んだ上での②なのです。
ここをはき違えるとトラブルが増えます。
気をつけてくださいね。
4日目に続きます。
☆バウンダリー(境界線)基礎講座
1日目 「バウンダリーとは」
2日目 「安全な人間関係の距離感を学ぶ」
3日目 「自分の感情は自分の責任!」
4日目 「支配・被支配の関係」
5日目 「共依存の関係」
6日目 「無関心の関係」
7日目 「ダブルバインド」
8日目 「人間関係の距離感チェック」