こんにちは。
エイダーズ山崎正徳です。
今日は「退職者が多い職場の経営者にありがちな考え方」について話します。
私はこの業界で働いてキャリア15年になるんですけど、実は大学は経済学部なんです。
大学4年の時は、私も普通に企業の就活をしていました。
色々な会社の説明会に行って、面接も受けました。
その中で、ある企業の説明会に行った時のことが、今でもすごく印象に残っています。
そこは、誰もが知る、全国に店舗を構える大型の量販店ですよ。
子どもがいる人なら、誰でも一度はお世話になったことがあるはずです。
そこの説明会の何が印象的だったかって、偉い立場の方が、いきなり私たち学生に説教したんですよ。
いきなりです。
上から目線で。
説明会に来ただけなのに。
何を言われたと思います?
「皆さん、就職活動するときはすごくやる気満々で、うちで本当に働きたいと言うんですが、入ると辞めていくんですよ」
「やる気があると言っておきながら採用すると、すぐにやめちゃう。だからあなた方に言っておきますが、ただ応募するんじゃなくて、本当にうちで働きたい、辞めないで働けるという人だけにしてくださいね」
「ほんとにね、入ってから辞められるのは迷惑なんですよ。今日の説明会を聞いて、本当にうちで働きたいという人が来てください」
当時は就職氷河期でしたから、だからこその強気の発言かもしれませんが
私は、この時、学生ながらに心の中でこう思いました。
「だから人が辞めるのでは?」
なんでいきなり説教されなきゃいけなの?
気持ちはわかるけど、他に言い方ってないのかな。
せっかく採用をした学生が辞めてしまうのは、本当に大変な思いをしているんでしょうし、苦労が絶えないんだろうなとは思います。
でも、それって、説明会を聞きに来た学生に説教する必要はあるのでしょうか。
私はこう言われているようにしか感じませんでした。
「おまえら若者はだらしがない」
加えて、その説明会では、1年目の新入社員が現場の説明を任せられていたんですが…
その人がだいぶ緊張していたんです。
何に緊張していたかって、私たち学生に対する緊張ではなくて、その偉い人に対する緊張としか思えませんでした。
新入社員の人の声がやや聞き取りづらかったんですが、その偉い人はそこでも「聞こえないよ!」と学生の前で説教。
見事に支配を目の前で見せつけられ、私はその場でエントリーする気も失せました。
退職者が減らない職場って、まさにこれと似たようなシステムが働いています。
「もっといいやつをとれ!」
「今の若者はだめだな、甘ったればかりで」
退職した社員の人間性の問題にすることが多いのではないでしょうか。
それって、すごく楽な方法だなと思います。
それで問題は解決しましたか?
結局、そういう人って、「3年で辞める若者」みたいな本を好むんじゃないでしょうか。
辞めていく人たちの問題にして済ませていませんか?
自分たちにベクトルを向けずに。
でも、結局、問題は解決しませんでしたよね?
支配者のいる職場って、支配という機能不全のシステムが退職者を量産しやすいんですよ。
だから、「機能不全のシステムが問題だ」という視点が必要になります。
私は、職場の問題を「家族システム論」を切り口に評価する方法を推奨しています。
家族システム論とは、
家族を、「家族のメンバーひとりひとりがお互いに影響を与え合うひとつのシステム」として考え、
家族のメンバーに起きる問題を、システムの病理と捉えます。
例えば、子どもが不登校になった場合、
「不登校を起こしている子どもに問題があると捉えるのではなく、家族システムの問題により、子どもが家族を代表して問題行動を起こしている」という捉え方をするのです。
つまり、会社を「会社のメンバーひとりひとりがお互いに影響を与え合うひとつのシステム」として考えます。
だから、「新人がすぐに辞めていく」という問題は、新人の問題ではなく「会社のシステムの問題により、新人が辞めていく」と評価してシステムに介入していくことを検討するんですよ。
こうやってベクトルを自分たちに向けて考えていかないと、何も変わらないのです。
「相手を変えよう」とするのではなく、まずは自分にベクトルを向けて、自分が変わってみることが大事なんですよ。
目の前の相手に変わってほしいという思いが強いと、無自覚にコントロールをしてしまい、より関係がこじれていきます。
まずは「変わってほしい」と思っている自分がいること、そこに気づいて関係を見直してみましょう。
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