鳥取県養護学校の看護師一斉退職に見る、対人援助職の使命感の強さが生む「依存」と「機能不全」

こんにちは。

 

エイダーズ山崎正徳です。

 

1年以上前のニュースを今さら取り上げます。

 

一昨年の6月にニュースで話題になった、鳥取県養護学校の看護師一斉退職をご存知ですか?

 

この学校では、8人で担当するべき仕事を6人の非常勤の看護師が対応するという人員不足状態が続き、ケアの遅れから、看護師が保護者から厳しい指摘を受けていたようです。(詳しくはこちら

 

ネットでは、モンスターペアレントの問題、人員不足の問題、常勤看護師不在の問題、一斉退職する看護師の責任感のなさを指摘する声など、色々な意見が寄せられています。

 

でも

 

同じ対人援助職として、断言できることがあります。

 

「クレームやモンスターペアレントで疲弊しても、それが理由で退職するなんてそうそうないですよ」ということです。

 

看護師さんなんて、むしろクレームなんて慣れっこだと思いますよ。

 

看護師さんは強いですからね。

 

そう、強いんです。

 

強い志、強い使命感、強い責任感、強い意志、体力もあります、苦労話だって尽きないはずです。

 

だからこそ

 

非常勤だろうと「私は非常勤だから」なんていう意識で働きません。

 

ひとりの専門家として、きっちりと自立して職務を果たします。

 

そうですよね?

 

保護者からクレームがあっても、専門家としてきっちりと対応をしたんじゃないかと思います。

 

できるだけ理解を得られるように説明し、至らない点はきちんと頭を下げる。

 

人員不足でどうにもできない状況だったでしょうけど、そんなこと保護者の前では言い訳にせず、ひたすら頭を下げたんじゃないでしょうか。

 

強い責任、使命

 

だからこそ

 

ここまで事態が深刻になったんじゃないかな、と思わざるを得ません。

 

だって、

 

クレーム対応って、普通は常勤が責任をもってやるもんでしょ?

 

どうして、非常勤の人たちがここまで傷つく必要があったんですか?

 

責任感の強い看護師さんが一斉に退職するなんて、ちょっと想像できません。

 

なので

 

この騒動を聞いて私が真っ先に思ったことは、これです。

 

看護師の責任感の強さに、本来責任をもって保護者に対応すべき常勤が甘えてたんじゃないの?

 

看護師に依存していた常勤が本来の役割を果たさなかったんじゃないの?

 

保護者が怖くて、矢面に立ってくれる看護師さんに依存したんじゃないの?

 

「私は専門外だから」なんて都合いいこと言って、逃げたんじゃないの?

 

そして

 

看護師さんたちは、そんな常勤に期待せず、「私たちが何とかしなきゃ」と日々奮闘したんですよね?

 

でも、何も変わらない

 

そして、守ってくれない職場に絶望して辞めたんですよね?

 

対人援助職にとって最も辛いことって、まさにこれなんですよ。

 

クレーマーやモンスターで疲弊することよりも、職場に守ってもらえないことが最も傷つき疲弊するんです。

 

問題の本質は、まさにこれなんですよ。

 

職場のシステムが機能していない。

 

責任を負うべき人が役割を果たさない

 

そして、責任の境界があいまいになり、傷つくべきでない人が傷つく

 

人間関係が悪化し、コミュニケーションがとれなくなる

 

こういう悪循環が起きているので、クレーマーなどの問題がより深刻になるんですよ。

 

こうやって機能不全が起きている職場であれば、いくら保護者が意見を言ってもきちんと対応できません。

 

だから、保護者も余計に怒ります。

 

結果、自分がクレーマー扱いされていることに徐々に気づいてきます。

 

そして余計にキレます。

 

看護師さんも、使命や責任感の強さから、時には責任を背負いすぎてしまいやすいんですよね。

 

本来は常勤に任せるべきところまで自ら背負ってしまうと、周囲の依存を生みやすいんです。

 

だから、これって、お互いが影響を与え合って起きたシステムの機能不全なんですよ。

 

モンスターペアレントの問題でもない。

 

看護師の問題でもない。

 

職場の機能不全の問題なんです。

 

保護者に納得してもらうことはもちろん必要ですが、システムを変えることを考えていかないとその場しのぎにしかならないんですよ。

 

今回のように、クレーマーの問題がこじれている時は、お互いの役割がきちんと守れているのか点検してみるといいですよ。

 

クレームが発生した時に、管理職は管理職の役割をこなしているのか。

 

そもそも、管理職、現場のスタッフ、それぞれがお互いの役割を共有して理解しているのか。

 

現場のスタッフの役割と責任はどこまでなのか。

 

役割や責任を果たさない人がいれば、果たされていない誰かの役割や責任を背負い込んでいる人が必ずいます。

 

そして、お互いがお互いを尊重し、敬意をもって働いているか。

 

伝えたいことを伝え、話を聴き合うことができているのか。

 

あなたの職場はどうでしょうか?

 

機能不全が起きているから、問題がこじれる。

 

問題がこじれるから、クレーマーが発生する。

 

モンスターペアレントの問題?なんて犯人探しをしたって無意味です。

 

職場の機能をよく点検しましょう。

 

その他、対人援助職の現場で起きるトラブルについてのブログ記事を紹介しますので、興味があればぜひ読んでみてください。

 

 

◆北区託児所の保育士逮捕から学ぶ、虐待や暴力などの反社会的行為が維持される職場のシステム

 

◆障害者支援施設「ハピネスさつま」で繰り返される虐待事件。虐待の問題は職員個人の問題ではなく、職場のシステムの問題である。

 

◆車内放置死亡事故、理事長セクハラの障害者支援施設「コスモス・アース」。機能不全の組織に蔓延する「無関心」は利用者を巻き込み、最悪の悲劇をもたらす。

 

◆さくらグリーンハウス市川での管理者による入所者傷害致死事件。施設の暴力は「施設を正すべき立場の人たちの無関心」によって成立する。

 

◆宇都宮障害者施設「ビ・ブライト」の傷害事件。知的障害者施設では虐待・暴力が発生するシステムが発動しやすい。

 


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