こんにちは。
エイダーズ山崎正徳です。
今日は、毎月のシフト作成で苦労している管理職の方に向けて記事を書きます。
できるだけ希望に沿ってあげてるのに・・・

毎月シフトを作っているんですが、できるだけみんなの希望を叶えてあげようと調整して組んでいます。
これがけっこう時間がかかるので、時には自宅でやることもあるんです。
そこまで苦労して作ったシフトなんですけど、必ずしも全ての希望に応えられるわけではないんです。
そうすると、必ず不満そうにして、不機嫌になっちゃうスタッフがいるんですよ。
私だって好きでシフトを作ってるわけじゃないし、時間も取られるし、良かれと思ってできるだけ希望にそってやってるのに。
そうやって不機嫌になると、こっちも怖いから、どうしてもそのスタッフの希望を優先しがちになっちゃうんですよ。
もう疲れちゃいました。
どうしたらいいですかね?
前にこんな相談を受けたことがあります。
これは、シフトを作っている多くの人にとって、共感できる悩みなのではないかと思います。
私もシフトを作っていたのでわかりますが、シフト作成って毎月毎月本当にストレスなんですよね。
時間がとられるし、人間関係のストレスも生じやすい。
このシフト作成のストレスは、「希望を聞く」というところにあると思います。
ここに、「バウンダリー(境界線)」を保つ難しさがあるのです。
不満を持ちやすい人は、「シフト作成者の善意」に依存する。
シフト作成者が、「できるだけみんなの希望をきいてあげたい」と考え、スタッフの希望を尊重してシフトを作成するとしますよね。
そこで、希望通りのシフトを組んでもらえたスタッフ側が、シフト作成者の気持ちや人間性、そして職場の事情をきちんと尊重できれば、良い関係が築けるわけです。
「いつも希望通りでありがとうございます。皆さんに迷惑をかけたくないので、希望通りにならなくても仕方ないと思ってます。その時はそうしてくださいね」
「今回は希望の日に休みがとれなかったけど、まあそれは仕方ないよね。この人数で回してるんだから」
こういう風にスタッフが捉えてくれていれば、お互いがお互いを尊重した、まさにバウンダリーを守れた関係なので、作成者にとっては負担が軽くなるはずです。

ただ、スタッフがシフト作成者のことを尊重できない場合、一気に負担が上がります。
シフト作成者の「良かれと思って希望通りに組む」に依存されてしまう場合です。
例え話をしますが、
毎日、井戸からバケツ10杯分の水を家まで二人で運ぶとします。
AさんとBさんがそれぞれ5杯ずつ分担して水を運ぶはずが、いつもBさんが遅いので、Aさんが「良かれと思って」Bさんの分を1杯多く運ぶようになる。
初めは「ありがとうございます!」とAさんに感謝していたBさんですが、だんだん運んでもらえて当たり前になってしまう。
こうすると、毎回Bさんの分も運んであげているAさんからすると、不全感や不満が募りますよね。
それなら自分で運んでもらおうと思って、「たまには5杯運んでください」と言ってみたら、Bさんがたちまち不機嫌になる。
この関係をどう思いますか?
Bさんは、Aさんの「良かれと思って」に依存してしまい、いつの間にか「やってもらえて当然」「どうしてやってくれないの?」になっています。
この関係が維持される限り、Aさんにとって多くの水を運ぶことはただの負担でしかありません。
怒り、不満、悲しみなどが強くなります。
シフトの問題もこれと同じことです。
お互いが相手を、職場を尊重するからこそ、「希望を聞く」が成り立つのです。
そして、職場には「できること」と「できないこと」がある、いわゆる限界があることを従業員側がきちんと理解していることで、「希望はあくまでも希望であり、思い通りにならないことは当然ある」がわかるのです。
これは、シフト作成者とスタッフのバウンダリー(境界線)、そして職場とスタッフのバウンダリー(境界線)がきちんと保たれているかどうか。
これが大切になります。

バウンダリー(境界線)が保たれていないと、シフト作成者の気持ちや人間性は尊重されません。
そして、職場としての「限界」をスタッフが理解できなくなります。
言ってみれば、問題のスタッフにとって、職場は「職場」というよりも「家」のような感覚になっているのです。
それが、「希望は聞いてもらえて当たり前」になります。
希望が通らないと、当然ながら不満になり、摩擦が生じます。
だからシフトが疲れるのです。
負担が倍増するのです。
職場として「できること」と「できないこと」を明確にする。
ここまで読んで、「まさにうちの職場だ!」と感じた方は、職場がきちんとバウンダリーを引き直す必要がありますよ。
これはスタッフ個人の問題ではなく、バウンダリーを緩くしすぎた職場に問題があるのです。
そんな問題を抱えている職場は、きっとシフトの問題以外にも人間関係のトラブルが起きやすいのではないかと思います。
職場としての限界を明確にすることは、決してスタッフに厳しくすることではありませんよ。
「できること」と「できないこと」をちゃんと伝えるだけですから。
例えば、スタッフが「50万円貸してください」と言ってきたら断りますよね?
なぜですか?
職場はスタッフにお金を貸すなんてできないからですよね?
それと同じです。
別に厳しくするわけではなく、できないことはできないんですから。
これが「限界」「バウンダリー(境界線)」です。
シフトも一緒です。
シフトの希望について、きちんと意味合いを説明しましょう。
職場には「できること」と「できないこと」がある。
シフト希望にも、「かなえられること」と「できないこと」がある。
それで不機嫌になったり、作成者に脅威を与えるような言動は相応しくないので絶対に慎むこと。
これをちゃんと伝えた方がいいです。

もしシフト作成者が主任クラスであったり、役職者としてのパワーが弱いなら、もっと上の方からきちんと伝えるとより効果的です。
より上の立場の方がそれを宣言することで、職場としてスタッフに示すバウンダリー(境界線)をより強固に、分厚くすることができます。
これをやらない職場がけっこう多いんですよね。
主任クラスにそういう仕事を任せると、スタッフは攻撃しやすいんですよ。
役職のパワーが弱いので、ターゲットになりやすい。
脅威を与えることでコントロールしやすいから余計に攻撃されます。
だから、境界線を明確にするなら、それなりの方から「主任の考えなのではなくて職場の考え」として言ってあげた方が主任クラスの方にとっても楽ですよね。
ぜひ、職場として取り組んでみてください。
それでもスタッフが感情的になって抗議するようなことがあれば、以下の記事を参考にしてみてください。
・思い通りにならないと感情的になる部下には、「感情的になった事実を問題」として扱う。
・感情的になる部下を注意してもいつもうまくいかないのは、部下の繰り出す「問題のすり替え」に巻き込まれているからではないですか?
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